2016 Fiscal Year Annual Research Report
あらゆる地盤・環境に適応できる未舗装道路整備法とサブサハラへの適用法に関する研究
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16H05745
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 亮 京都大学, 工学研究科, 教授 (30177927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤村 康生 京都大学, 工学研究科, 助教 (20738223)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サブサハラ・アフリカ / 問題土 / 適正技術 / 未舗装道路 / 社会実装 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では雨期に泥濘化する膨張性粘性土地盤上や,山岳部,湿地帯など厳しい条件下にある未舗装道路を,現地調達可能材料と人力ベースで整備する手法を開発し,体系化する.また,サブサハラ・アフリカ全域での未舗装道路の通行性向上を目指し,多様な地域条件を考慮する.東部,西部,南部で3 拠点を選定し各国道路行政と連携しつつ,さらに広域での未舗装道路整備法の社会実装を目指す. 3年計画の初年度にあたる平成28年度は,研究拠点となる東部エチオピアのアジスアベバ科学技術大学構内にて,土のうによる路盤構築手法の簡便な試験施工を実施した.同大学の研究者による試験施工実施と定期的なデータ収集,分析する体制を確認した.構内には問題土であるブラックコットンソイル地盤が広がり,試験施工対象道路の路床となる.路床整形後に路盤として土のう層を構築し,その上に砂層基礎設置後コーブルストーン舗装を行った.今後,交通荷重作用下での路面沈下量と路盤構造との相関を分析する. 大学近郊でブラックコットンソイル地盤を路床とする公道上での土のう工法の試験施工を計画し,同大学,エチオピア道路公社道路研究センターと連携し実施する体制を構築した.準備工として道路平面,縦断線形を把握した.現行のエチオピア少交通量道路設計マニュアルにならい,動的コーン貫入試験機による路床の支持力,室内試験での水浸CBR値測定を行った.次年度以降約300 mの試験施工区間を土のう層数や中詰材料を変化させた複数のケースに分割し,同交通量作用下での路面沈下量を計測し比較分析する. エチオピア南部山間部の急こう配未舗装道路状況を調査した.その整備に向け,地方行政と住民参加での協力体制を構築した.今後,現地調達可能材料と人力ベースでの手法での改修方法を提案し,実施工を通して適用性を検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の調査研究の活動として,サブサハラ・アフリカでの3 拠点での研究実施体制を確立し,未舗装道路整備の困難な箇所の地盤・環境条件,現地調達可能資源,現行の道路設計マニュアルや整備仕様を把握することを計画した. サブサハラ・アフリカ東部のエチオピアにて,アジスアベバ科学技術大学,またエチオピア道路公社道路研究センターと連携し,試験施工を実施する体制が構築された.研究課題である問題土ブラックコットンソイル上の未舗装道路整備手法の開発と社会実装に向けて,現地道路管理者と連携した具体的な試験施工実施段階に到達することができた.エチオピアの道路設計マニュアルに従い土のうを利用した道路整備手法についても設計可能なように,試験施工実施に際し路床強度が測定され,利用する路盤材の種類が検討された. エチオピアにて整備が困難な急こう配の未舗装道路対策を検討するため,地方行政と沿線住民の研究への理解と協力が得られる地域を探し当て,研究対象とする山岳地未舗装道路を決定した.今後,地盤や地形条件,気象情報等環境条件の調査を進める.現地調達可能材料と人力ベースでの手法での改修方法を提案し,実施工を通して適用性を検証する. アフリカ西部の拠点としてコートジボワール,南部の拠点としてモザンビークを対象とし,各々試験施工実施対象地の選定や研究活動を連携して実施するために道路管理者との協議を行った. 以上の平成28年度の研究実績から,本研究事業の達成度はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
エチオピアでは,平成28年度までに準備が整えられた試験施工を実施し,データを収集分析する.土のう中詰材種類,土のう層数を変化させた各ケースにおける,同じ交通荷重作用下での路面沈下量を計測し比較分析する.さらに現行道路設計ガイドラインで,路盤材料の強度はCBR値によりクラス分けされることから,土のう自体のCBR値を評価する手法を開発する. 選定されたエチオピアの山岳地道路にて,急こう配部の車両通行性確保のための対策工,土のう工法の擁壁への適用など簡便な減災,早期復旧対策工の構造を検討する. コートジボワールでは,内務省地方分権地域活性局の局長補佐の要請を受け,これまでに土のう工法試験施工実施に向けた対象地調査,未舗装道路整備促進のための土のう工法の適用に関する全国市長との協議を行った.その結果を踏まえ,首都アビジャンより西に100 kmに位置するグランドラホにて,試験施工を実施する.現地で調達可能な袋材,土のう中詰め土質材料の適用性,また今後1年間の現地交通,気象条件下での耐久性を確認する.現行の道路マニュアルを入手し,フランス語から英語に翻訳し内容を把握する. モザンビークでは道路管理局(National Road Administration, ANE)に対して,アフリカ東部,西部における土のうによる未舗装道路維持管理事例を紹介するワークショップを行う.モザンビークでの普及に向けて,試験施工の実施から土のう工法のガイドライン作りまでの活動計画をたてる.特に北部ナカラ回廊近郊の未舗装道路を対象とした試験施工実施を計画する.
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