2016 Fiscal Year Annual Research Report
裸子植物グネツム綱から被子植物型負重力屈性の由来と進化を探る
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16H05768
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 浩之 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50210555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 裸子植物 / 植物進化 / 植物系統分類 / グネツム / 成長応力 / あて材 / 負重力屈性 / 細胞壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、ジャワ島(2か所)にて成木に関する調査・サンプリングを行った。調査地を西ジャワ州クニンガン県およびジョグジャカルタ近郊(いずれも植林地)に定めた。2016年10月、11月に、協力研究者(ユスフ・スド・ハディ、スリ・ヌグロホ・マルスム 両教授)とともに、調査対象個体(鉛直樹幹を有する2個体、傾斜樹幹を有する5個体)を選定し、成長応力測定と木部試料サンプリングに供した。胸高位置の木部表面および内樹皮表面を露出し、円周に沿って8~12点、ひずみゲージを貼付し、その周囲を切り込むことで得られる表面応力解放ひずみを記録した。測定後、ひずみ測定点を含む木部(あるいは師部)試料(さらには樹幹円盤)を採取し、所定の手続きの後、日本へと郵送した。名古屋大学の実験室にて、顕微鏡観察と材料試験を含む、細胞壁特性の解析を行った。
以下の結果が得られた。(1)二次成長の不均一性(偏心肥大成長)の様子:傾斜して生育する樹幹では、例外なく、木部、師部とも、上側で肥大成長の顕著な促進が見られた。(2)木部表面成長応力解放ひずみ:傾斜して生育する樹幹では、傾斜の上側で-0.11~-0.15%程度の収縮の解放ひずみが測定されたのに対し、傾斜の下側では-0.01~-0.03%程度にとどまった。鉛直に生育する樹幹では、円周状に一様に、-0.05~-0.07%程度の収縮の値であった。例外は見られなかった。(3)内樹皮表面成長応力解放ひずみ:傾斜の程度に関係なく、値は大きくばらついた。総じて大きな負の値であったが、傾斜との関連性は見られなかった。測定方法に何らかの問題があったものと思われる。(4)顕微鏡組織観察:二次木部に道管要素の発達が認められた(従来の知見通り)。
以上から、G.gnemonの成木は、裸子植物であるにもかかわらず、被子植物型の負重力屈性発現挙動を示すことが、ほぼ確定的となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成木個体を対象とする現地調査とサンプリングについては、おおむね順調に終了した。表面成長応力の円周分布の不均一性と偏心肥大成長の不均一性については、予測通りの結果(裸子植物型ではなく、被子植物型)であることが“証明”できた。しかしながら、内樹皮が発生する成長応力については、測定における失敗が多く、内樹皮(生組織)表面の暴露方法に、何らかの工夫が必要である。 さらに、当初の予定では、細胞壁二次壁におけるセルロースミクロフィブリルの配向角度を実測する予定であったが、当研究室所有のエックス線回折計の不調により、その測定が大幅に遅れている。2017年度に、他部局所有の同装置の使用を予定しており、その遂行を急ぐ。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、2017年度は、幼木個体における負重力屈性発現様式(木部の成長応力が主体的役割を有しているのか、あるいは樹皮に発生する成長応力が主体なのか)を解明することであった。本年度は、幼木個体のみならず、成木個体における樹皮の役割の解明にも再挑戦する(昨年度中に結論が得られていないため)。また、今現在時点で遂行が遅れている、木部および師部繊維細胞壁におけるミクロフィブリル傾角(MFA)の測定をも急ぐ。MFA測定の遅れは、当研究室所有のエックス線回折装置に不調が生じたためであり、急きょ、別仕様の装置(学内共有施設)に、昨年度購入した繊維試料台を適用することにより、その解決を図るつもりである。
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Research Products
(2 results)