2016 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける筋ジストロフィーオーダーメイド治療開発のための分子疫学的調査
Project/Area Number |
16H05814
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
竹島 泰弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40281141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 知子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10596042)
下村 英毅 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30441273)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋ジストロフィー / 東アジア / 分子疫学 / 遺伝子診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する分子治療法が開発され、その導入に期待が高まっている。これらの治療法を臨床へ応用する上において、治験により多数例における有効性の検討が不可欠である。しかし、分子治療は遺伝子変異の種類によって方法が異なる「オーダーメイド治療」であるため、個々の治療法の対象症例数が少なく国内において有効性を明らかにすることは困難である。本研究では、東アジア各国におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー症例の分子疫学を明らかにすることを目的として、ジストロフィン遺伝子解析を行っている。ジストロフィン遺伝子変異の7割はエクソン単位の欠失・重複であり、MLPA(multiplex ligation probe probe amplification)法において同定が可能である。しかし残りの3割は1ないし数塩基の微小変異であるが、ジストロフィン遺伝子が巨大であるため、多数例において微小変異の同定を行うことは困難である。今年度は、次世代シークエンサーを用いたジストロフィン遺伝子の微小変異を同定するシステムを構築するために、ジストロフィン遺伝子パネルを構築し、その有用性の検討を行った。その結果、本システムを用いて、多数例のジストロフィン遺伝子解析を効率的に解析することが可能であった。現地研究者との連携のもと、MLPA法と次世代シークエンサー法を組み合わせることにより、海外の多数例のデュシェンヌ型筋ジストロフィー症例の遺伝子変異の同定を効率的に進めることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
海外の研究者との連携が十分に取れず、初年度に予定していた成果を十分に上げることができなかった。その一方、ジストロフィン遺伝子の微小変異解析法の構築は予定通り進んでいるため、本年度の遅れを次年度で取り戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
東アジア各国(中国、ベトナム、インドネシア、ネパールなど)において現地の研究者との連携を再構築する。そして、現地において筋ジストロフィーが疑われる症例の臨床診断を行い、デュシェンヌ型筋ジストロフィー症例の集積を行う。そして、現地においてMLPA(multiplex ligation probe probe amplification)法、RT(reverse transcription)-PCR法およびダイレクト・シークエンス法を用いて、デュシェンヌ型筋ジストロフィー症例のジストロフィン遺伝子変異を解析する。また、症例数が多い場合は、次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析も併用して変異の同定を進める。これらの調査に基づき、東アジア各国においてデュシェンヌ型筋ジストロフィーの分子疫学を明らかにし、ジストロフィン遺伝子異常のデータベースを構築する。さらに、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する「オーダーメイド治療」の臨床的な有効性を検討するための基盤整備を行う。
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