2017 Fiscal Year Annual Research Report
規則ナノ細孔を有する分子シートのボトムアップ創製:相界面合成法の開発と分離膜応用
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16H05968
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
牧浦 理恵 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30457436)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノシート / 気液界面 / 分離膜 / 配位高分子 / X線回折 / 多孔性材料 / 放射光 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
高選択性・高透過性を併せ持つ分離膜の開発は、物質の分離・精製操作が必須とされる環境、エネルギー、化学工業において強く望まれている。本研究においては、究極の分離性能実現のための理想的な膜、すなわち規則ナノ細孔を有する極薄ナノシートを開発する。そのために、異種界面における特異反応場を利用して結晶性ナノシートの作製に成功してきた研究代表者の実績にもとづき、気相と液相の界面反応により、構造設計性に富む有機分子をボトムアップ式に二次元に連結させ、狙いのナノ細孔構造を有する分子ナノシートを創出する。このナノシートは、有機ポリマー分離膜にて効率と生産性のトレードオフから生じる性能の上限を大きく凌駕し得るものである。 当該年度は、以下を実施した。 1)ナノシートの安定性(耐熱性、耐水性)の評価:分離膜としての応用を検討する上で、ナノシートの安定性評価が不可欠である。気液界面にて得られたナノシートを固体基板に転写し、加熱、浸水、高湿度蒸気(水蒸気、有機溶媒)雰囲気における構造評価を行った。試料を加熱した状態で薄膜XRD測定を行うための試料ステージを設計・作製した。また、気相を大気から有機溶媒蒸気に変更することで、ナノシートのサイズが拡大することがわかった。 2)ナノシートの細孔径及びガス選択性の評価:分離膜として検討する上で必須となる細孔径及びガス選択能の評価を行った。研究代表者が所有するガス吸着測定装置にて、環境、化学工業の分野で重要なN2,O2,CO2,H2,CH4に対する吸着特性の違いを調べた。その結果、比較対象とするマクロスケールの結晶はナノ細孔が存在しないのに対し、ナノシートは、ガス分離に有用なナノ細孔を有することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、主にナノシートの基礎特性を把握するための上述の2つの項目に関して進めることができた。同じ有機分子を用いた材料でも、マクロスケールの結晶と、気液界面で作製したナノシートでは、結晶構造が大きく異なることが明らかになった。これは、本研究の主テーマである気液界面を用いた作製法が有用且つ重要であることの裏づけとなる結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ナノシートの応用特性評価に向けた試料準備に向け、以下の2つの項目を進めていく。 1) 保持基材上へのナノシートの転写 2) 機械的強度の評価
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