2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H06005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三宅 芙沙 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90738569)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙線生成核種 / Solar Proton Event / 樹木年輪 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球へ飛来する宇宙線により、14Cを代表する宇宙線生成核種が生成される。14Cは、二酸化炭素となり大気を循環した後に樹木年輪へ取り込まれるため、年輪の14Cは過去の宇宙線量の優れた指標である。仮に地球へ降り注ぐ宇宙線量が単年スケールで急増するような宇宙の高エネルギー現象が発生していた場合、そのようなイベントが年輪の14C濃度の急増として記録されている可能性がある。我々はこれまでに、西暦775年と994年に大規模なSolar Proton Event(SPE)が生じた痕跡を樹木年輪の14C濃度測定から示した(太陽からの高エネルギープロトンによって14C生成が生じる)。その規模は観測史上最大SPEの10倍以上と推定され、仮に現在発生すると我々の生活に大きな影響を及ぼす。本研究では、過去5000年間の連続14Cデータ(隔年測定、1年分解能)を取得し、急激な14C増加を検出することで大規模SPEの発生頻度を解明することを目的としている。 今年度は、過去3000年間で急激な14C増加が疑われる年代の追加測定を実施した。14C濃度測定の予定が遅れていたため、測定は完了しなかったが、BC1000‐BC2000程度の木材サンプルの準備を実施した。また、14C分析の前処理自動化装置の全自動化のセッティングを行い、ほとんど自動でセルロースからグラファイトまで作成することが可能となった。さらに、国際ワークショップを名古屋大学で企画し、これまでの成果について発表するとともに関係研究者らと情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
木材サンプルの準備は完了したものの、予定していた過去4000年間の14C濃度測定が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、準備した木材サンプルをもとに、予定していた14C分析を完了させる予定である。前処理の自動化装置を用いた分析ができることから、作業の効率化が期待できる。
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Research Products
(16 results)