2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of magnets hosting strongly correlated Dirac fermions
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16H06015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 英明 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (20534598)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ディラック電子系 / 量子ホール効果 / ゼーベック効果 / ネルンスト効果 / トポロジカル磁性体 / 巨大磁気抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず本年度は、多層ディラック電子系の熱電現象の解明を目指し、キャリア濃度を系統的に制御したEuMnBi2単結晶において、ゼーベック係数とネルンスト係数の測定を行った。この結果、2つの熱電係数のキャリア濃度依存性が大きく異なることを見出した。ゼーベック係数の温度依存性はキャリア濃度にほぼ依らず100-150 Kで最大値を取る。この最大値は、p型の母物質からキャリア濃度を減少させると一旦上昇し、その後急激に減少する。この様な振る舞いは、第一原理計算の結果と半定量的に一致し、元素置換による物質設計および熱電性能の最適化が可能であることを実証した。一方、ネルンスト係数はキャリア数の減少に伴い単調に増加(母物質の約5倍まで上昇)することが明らかとなった。この特異な変化は、ディラック電子系の半古典理論(モットの式)でほぼ理解できる。この理論に基づく表式では、ネルンスト係数のピーク値は u/E_F(u:移動度、E_F:フェルミエネルギー)に比例するため、実験結果の傾向と合致する。通常の放物線バンドの系では、E_Fがバンド端に近づくと移動度が低下してしまうが、ディラク電子系ではバンド端でも移動度が落ちない(フィット結果ではむしろ上昇する)ため、 ネルンスト係数が大幅に増大したと推察される。 さらに従来の反強磁性と異なり、Mnスピンの面内キャントにより弱強磁性となるBaMnX2 (X=Sb, Bi) の量子輸送特性の詳細解明を目指し、(回転)強磁場中において電気伝導測定を行った。この結果、前年度に純良化に成功していたp型BaMnSb2において、ホール抵抗率が明瞭なプラトーを示し、同時に層間伝導度がほぼ消失する(1000分の1以下)振る舞いを見出し、バルク半整数量子ホール効果の観測に成功した。量子化したホール抵抗率を解析した結果、ディラック電子のバレー・スピン分裂などの強相関効果が示唆された。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(32 results)
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[Journal Article] Nanoscale ice-type structural fluctuation in spinel titanetes2018
Author(s)
S. Torigoe, T. Hattori, K. Kodama, T. Honda, H. Sagayama, K. Ikeda, T. Otomo, H. Nitani, H. Abe, H. Murakawa, \underline{H. Sakai}, and N. Hanasaki
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 98
Pages: 134443
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Negative-pressure-induced helimagnetism in ferromagnetic cubic perovskites Sr$_{1-x}$Ba$_{x}$CoO$_{3}$2018
Author(s)
H. Sakai, S. Yokoyama, A. Kuwabara, J. S. White, E. Canevet, H. M. Ronnow, T. Koretsune, R. Arita, A. Miyake, M. Tokunaga, Y. Tokura, and S. Ishiwata
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Journal Title
Phys. Rev. Mater.
Volume: 2
Pages: 104412
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 角度分解光電子分光によるTaAsの電子構造2019
Author(s)
島岩泰暉, 密岡拓心, 村川寛, 駒田盛是, 横井滉平, 酒井英明, 花咲徳亮, 有田将司, E.F. Schwier, 島田賢也, 生天目博文, 溝川貴司
Organizer
日本物理学会第74回年次大会
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[Presentation] p型/n型SnSeにおける外部圧力を利用したバレー構造と熱電特性の制御2019
Author(s)
西村拓也, 酒井英明, 森仁志, 秋葉和人, 臼井秀知, 越智正之, 黒木和彦, 三宅厚志, 徳永将史, 上床美也, 片山敬介, 坂本拓也, 村川寛, 花咲徳亮
Organizer
日本物理学会第74回年次大会
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[Presentation] 外部圧力によるSnSeのリフシッツ転移と熱電性能の向上2018
Author(s)
西村拓也, 酒井英明, 森仁志, 秋葉和人, 三宅厚志, 徳永将史, 上床美也, 臼井秀智, 越智正之, 黒木和彦, 片山敬介, 村川寛, 花咲徳亮
Organizer
第3回固体化学フォーラム研究会
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[Presentation] PbTeにおける``Diracness"の評価とその圧力依存性2018
Author(s)
秋葉和人, 三宅厚志, 酒井英明, 片山敬介, 村川寛, 花咲徳亮, 鷹岡貞夫, 中西良樹, 吉澤正人, 小林達生, 徳永将史
Organizer
日本物理学会2018年度秋季大会
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[Presentation] 角度分解光電子分光で観測されたTaAsのTa終端における電子構造2018
Author(s)
密岡拓心, 岡本陽平, 溝川貴司, 村川寛, 駒田盛是, 横井滉平, 酒井英明, 花咲徳亮, E.F.Schwier, 島田賢也, 生天目博文
Organizer
日本物理学会2018年度秋季大会
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