2016 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒/水界面における完全水分解反応の活性増大メカニズムの解明
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16H06029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 敏樹 京都大学, 理学研究科, 助教 (00630782)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水分解光触媒 / 酸化反応制御 / 実用表面科学 / 擬似液体水形成 / オペランド振動分光 / 過渡吸収分光 / 二次元振動分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,既存の表面化学的手法の限界を超えたオペランド振動分光により,光触媒/水界面における水分解反応の活性増大・反応選択性制御メカニズムを解明することを最終目的としている. 昨年度に引き続き,Ptを担持させたP25やST-01, DAP, OAP, Nacalai等のTiO2ナノ粒子をモデル光触媒系として,水蒸気下で厚さを精密制御した擬似液体水薄膜を形成させ,光触媒反応活性評価を行った.その結果,P25では水素と酸素が量論的に発生するのに対し,P25以外のTiO2試料では水素発生のみが確認された.紫外光照射時に酸素発生が確認されなかった一部のTiO2試料については水の部分酸化によって過酸化水素が発生していることを示唆する予備的な分光結果を得る事ができた. また,AHPにより表面水酸基を導入したTiO2やNaTaO3,について水蒸気下で光触媒反応活性評価を行ったところ,水素発生及び酸素発生についてはAHP処理の効果が有意には得られなかった.アルコールの光触媒反応と水の光触媒反応ではAHPの効果の有無が全く異なるものであると考えられる. さらに,本年度は光触媒反応条件下で1000 cm-1以下の波数領域の振動分光を可能とするオペランドラマン分光測定系の立ち上げを行った.表面第一層以下の微量の吸着水分子を検出可能な高感度ラマン分光系の構築に成功した.その結果,ラマン分光を用いて第一層吸着以下の低相対湿度領域の水の吸着等温線の測定が可能であることをつきとめている. OH伸縮振動バンドのオペランド二次元分光を行うための光学系の構築にも取り組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
光触媒試料の表面に吸着量を制御した水液膜を形成させることに成功し,その試料を用いて光触媒動作条件下のオペランド振動分光に成功した.水の完全酸化による酸素発生ではなく部分酸化による過酸化水素発生を示唆する結果が得られつつある。過酸化水素発生を示唆する結果は、水の酸化反応を部分酸化に止めてより高付加価値な化学物質を光触媒と水から製造できる可能性を示唆するものである. また,ラマン分光によって第一層吸着以下の低相対湿度領域の微量の吸着水に対する吸着等温線の測定にも成功することができた.これにより,赤外分光法と相補的なラマン分光法を用いて反応活性に資する微量吸着水の研究を行う準備が整った.
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Strategy for Future Research Activity |
酸化水素発生を示唆する結果は、水の酸化反応を部分酸化に止めてより高付加価値な化学物質を光触媒と水から製造できる可能性を示唆する画期的な成果である。引き続きオペランド赤外分光法とラマン分光法により,過酸化水素の分光を行い.過酸化水素発生が認められるTiO2試料と,過酸化水素発生が認められないTiO2試料の分光結果を比較し,水を部分酸化に止めておくことを可能にする表面素過程のキーファクターを解明することに挑戦する. また,同位体希釈HDO水分子を吸着させた光触媒TiO2紛体試料に対してOH伸縮振動スペクトルの二次元分光に,世界に先駆けて挑戦する.
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] ; Water-assisted hole trapping at highly curved surface of nano-TiO2 photocatalyst2018
Author(s)
K. Shirai, G. Fazio, *T. Sugimoto, D. Selli, L. Ferraro, K. Watanabe, M. Haruta, B. Ohtani, H. Kurata, C. Di Valentin & Y. Matsumoto
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc
Volume: 140
Pages: 1415,1422
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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