2017 Fiscal Year Annual Research Report
Autonomous theranostics of miRNA from tumor using DNA computing
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16H06043
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
川野 竜司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (90401702)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DNAコンピューティング / ナノポア / 脂質二分子膜 / マイクロデバイス / 癌診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、DNAコンピューティングの自律的演算機構を利用し、次世代腫瘍マーカーであるmicroRNA(miRNA)を膜タンパク質ナノポアにより特異的、電気的にリアルタイムで検出可能なシステムを構築する。miRNAは腫瘍以外にも様々な器官から分泌され、特定のマーカーだけ検出するには多段階の処理が必要であった。本研究では特定の配列のDNA・RNAを認識し演算処理を行うDNA演算機構を利用し、これを解決する。またこれまでDNA演算の出力検出は蛍光観察で行われてきたが、これをナノポアを用いることで電気的かつリアルタイムで検出を行う。またDNAコンピューティングでは酵素を用いた計算法が様々報告されているが、本システムのような脂質で覆われた液滴で酵素が高い活性を持ったまま反応を起こすか未知であった。本年度は前年度から引き続き最適な酵素反応条件を探索しつつ、その結果確立したナノポア計測条件を検討した。本年度は小細胞肺癌をターゲットとし、そのマーカーになるmiRNAを診断し腫瘍を抑制するDNA薬剤の自律放出する系の構築を行った。本成果に関して論文を投稿した。また小細胞肺癌から同時に分泌される2種類miRNAの検出を論理演算のANDゲートと見立てて検出を行った。その結果2種類の同時検出には成功したので、胆管癌の5種類のマーカーmiRNAの同時検出にも取り組んだ。本成果に関し国際会議を含む複数の学会で発表し、小細胞肺癌の結果については現在論文投稿中である。また特許に関しても出願を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討およびH29年度の検討によりドロップレットデバイスにより様々なDNA演算が実行可能であることを検証した。それらの技術を基盤とし、小細胞肺癌から分泌される2種類のmiRNAに対し診断用DNAを設計し、ナノポア計測により2種類が同時に分泌されたときのみに出力分子を出力するANDゲートの構築に成功した。このときナノポアを阻害する時間からANDゲートの4パターン全ての状態を見分けることを可能にするデータ統計処理に関しても新たに構築できた(論文投稿中)。そこで次に胆管癌から分泌すされる5種類のmiRNAについて同時検出に取り組んだ。これまで2進数の論理演算回路での検出を構築してきたが、5種類同時検出のためにバーコード型の診断用DNAを新たに設計し計測を行ったところ、新たに開発した統計解析と組み合わせることで予想以上に高精度に癌状態と健康状態の診断が可能であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに、小細胞肺癌の2種miRNA、胆管癌の5種miRNAに関して、その診断用DNAを設計し、ナノポア計測により健康状態と癌罹患状態をin vitroで見分けることができた。次に実際に癌患者の血液サンプルを用いて本手法の実用可能性を検討する。現在1検体ではあるが胆管癌患者と健常者の血漿サンプルに関し本手法を適用したところ、はっきりと違いが現れた。そこで今年度は検体数を増やし検討を行う。また本手法は診断用のDNAさえ設計できれば、全てのmiRNA検出に応用可能であるので一般性の検討として口腔癌に関しても検討を行う。口腔癌に関しては口腔内科の先生と共同で、口腔癌患者の予後観察の応用を目指す。
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