2017 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン修飾による褐色脂肪細胞分化制御機構の解明
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16H06226
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大野 晴也 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (60725894)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / ベージュ脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
#ベージュ脂肪細胞におけるMATIIαの熱産性能における役割の検討 MATIIαはメチル基供与体として,細胞内クレアチン産生の代謝経路に直接関与しており,また近年クレアチン依存的な熱産生経路の存在が明らかになってきていることから,MATIIαのクレアチンを介した熱産性能への影響を検討した。MATIIα阻害薬であるFIDAS-5をベージュ脂肪細胞に添加すると,細胞内クレアチンの減少とともに,UCP1非依存性の酸素消費量の低下が認められた。またベージュ脂肪細胞により近い性質を持つヒトの培養褐色脂肪細胞においてもFIDAS-5の添加に伴い酸素消費量の低下を認め,ベージュ脂肪細胞とヒト褐色脂肪細胞におけるクレアチン生合成を介したMATIIαのUCP1非依存性熱産性能への働きが明らかとなった。 #マウス褐色脂肪組織形成におけるMATIIαの与える影響の検討 MATIIαのエクソン2-6をfloxで欠失するマウスを、筑波大学生命科学動物資源センターに依頼しCrispr/cas9を用いた方法で作成した。このマウスにmyf5プロモーター下にCreを発現するマウスと交配させることで褐色脂肪組織特異的MATIIαノックアウトマウスを作製した。出生直後の褐色脂肪組織の表現形を検討する予定であったが,褐色脂肪組織特異的MATIIαマウスは低体温により出生直後より致死であり,その表現型を解析するのは困難であった。そこで褐色脂肪組織が充分に形成されているE16.5-18.5期におけるマウスの組織採取に切り替えて現在検討を行っている。 #ヒト褐色脂肪組織におけるNF1Aが与える影響の検討 ヒト褐色脂肪組織における検討で,転写因子NF1Aがヒト褐色脂肪組織の形成にも重要であることを東京大学との研究チームとの共同研究で明らかにした(雑誌論文1)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PRDM16/EHMT1/MATII複合体が褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞における転写活性制御で重要な役割を果たしていることだけでなく,細胞内クレアチン産生を介したUCP1非依存的熱産性能にも関与していることを明らかにできた。 並行して、MATIIαの褐色脂肪組織特異的ノックアウトマウスの作製にも成功しており,表現型解析を今後行う基盤を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
褐色脂肪組織特異的MATIIαノックアウトマウスの胎生期において,褐色脂肪組織の形態学的検討およびUCP1などの褐色脂肪細胞特異的タンパクだけでなく,H3K9me2などヒストン修飾に関わる因子についても免疫染色を行う。同組織のRNAシークエンスも施行して網羅的な遺伝子発現の変化も調べることで、MATIIαが褐色脂肪細胞の分化に与える影響を包括的に検討する。 さらにMATIIα floxマウスにadiponectinプロモーター下にCreを発現するマウスと交配させることで脂肪組織特異的MATIIαノックアウトマウスを作成する。長期の寒冷刺激やβアドレナリン刺激により白色脂肪組織中にベージュ脂肪細胞を誘導し,in vivoモデルでのMATIIαのベージュ脂肪細胞形成に与える影響を検討する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] NFIA co-localizes with PPARγ and transcriptionally controls the brown fat gene program2017
Author(s)
Hiraike Y, Waki H, Yu J, Nakamura M, Miyake K, Nagano G, Nakaki R, Suzuki K, Kobayashi H, Yamamoto S, Sun W, Aoyama T, Hirota Y, Ohno H, Oki K, Yoneda M, White AP, Tseng YH, Cypess AM, Larsen TJ, Jespersen NZ, Scheele C, Tsutsumi S, Aburatani H, Yamauchi T, Kadowaki T
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Journal Title
Nature Cell Biology
Volume: 19
Pages: 1081~1092
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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