2017 Fiscal Year Annual Research Report
過剰なDNA複製を抑制する分子機構の同定とその破綻による発癌機構の解明
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16H06271
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
常松 貴明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (70726752)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNA複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体数の異常な増加は、ほぼすべての癌で共通にみられる特徴である。正常細胞はDNA複製を一回の細胞周期 当たり一度だけに規定し、恒常性を保っている が、その破綻は、過剰なDNA複製(DNA再複製)を誘導し、染色体数の異常な増加を引き起こす。従って、過剰なDNA複製(DNA再複製)を防ぐ機構は、極めて重要な癌抑制機構と考え られる。近年、本機構の一端が明らかになりつつあるが、その分子機構は未だ不明な点が多い。そこで本研究は 、全ゲノム規模のsiRNAライブラリーを用いて、RNAiスクリーニングを行い、新規のDNA再複製抑制因子群を探索 ・同定し、細胞が如何にしてDNA再複製を妨げ、癌化を抑制しているのかを明らか にすることを目的とし、それら分子を標的とした新規の癌治療や診断法開発のための分子基盤の確立を目指すことを目的とする。平成29年度は前年度行ったハイスループットスクリーニングにより得られたDNA再複製抑制因子候補の3つの遺伝子に着目して研究を実施した。二次スクリーニングとして、前述の3つの遺伝子の個別のsiRNAを購入し、knockdownを行い、まずDAPI染色にて検討したところ、実際に核の腫大化を認めた。PIでDNAを染色し、Flowcytometryにて個々の細胞のDNA含有量を調べることができるため、knockdownを行った細胞で検討したが、positive controlであるEmi1 siRNAとは異なり、DNA含有量の増加はみられず、これらの遺伝子のknockdownによる核の腫大化はDNA再複製によるものではないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度のスクリーニングによって得られたDNA再複製抑制因子候補が核の腫大化は引き起こすが、DNAの再複製は誘導していない可能性が考えられたため、研究計画の修正ないしこれらの遺伝子が核の腫大化を引き起こす原因を調べる必要が生じたため、やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニング系の修正を行い、もう一度スクリーニングを実行する予定である。具体的な計画としてはDNA複製関連因子の多くがユビキチンプロテアソーム系によるタンパク分解により制御されているため、それら分子のタンパク量の調節に関わる新規遺伝子を探索することを予定している。また前述の3遺伝子がどのようにして核の腫大化を引き起こすのか検討する予定である。
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Research Products
(7 results)