2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of membrane proteins regulated by physical stimuli
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16H06294
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濡木 理 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10272460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 耕一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10262073)
MATURANA ANDRES 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10452004)
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Project Period (FY) |
2016-04-26 – 2021-03-31
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Keywords | 生物物理 / 電子顕微鏡 / X線 / 蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
光感受性チャネル:光駆動性カチオンチャネルであるチャネルロドプシンは励起光(480nm青色光)の照射によってイオンを流入させることができるため、「光遺伝学」と呼ばれる手法のツールとして神経生物学の分野で広く用いられている。平成28年度にはこのチャネルロドプシンのイオン流入の分子機構を明らかにするため、SACLA自由電子レーザーを用いた時分割構造解析を行い、励起光照射した後1, 50, 250, 1000, 4000マイクロ秒後における構造変化を明らかにした。その結果、発色団レチナールにおけるall-trans型から13-cis型への異性化に伴ってチャネルロドプシン内部に構造変化が生じ、イオン透過経路におけるinner gateと呼ばれる狭窄部位が広げられるように変化することがわかった。 音感膜タンパク質:Transmembrane channel-like protein1/2 (TMC1/2) は,聴覚や平衡感覚の受容に関わる機械刺激受容チャネルの有力候補である.鳥類や爬虫類に由来するTMCホモログの発現・精製に成功し,熱安定性が向上して均一性高く発現するコンストラクトの同定に成功した.現在ネガティブ染色による電子顕微鏡観察を試みている.ニワトリ由来Prestinに関しては,さらにコンストラクトの改変および発現・精製系の検討を行った結果,細胞質ドメイン欠損変異体について大量かつ均一に精製することに成功した.これと並行して,ヒト由来Prestinのクローニングも新たに行い,さまざまな細胞を用いての発現条件の検討を行った結果、HEK293S細胞にて良好な発現が確認された.この発現系を用いて界面活性剤や緩衝液などの可溶化条件の検討および120種以上のコンストラクトの比較検討を行った結果,熱安定性が向上して均一性高く発現するコンストラクトの同定に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
光感受:最も長波長に吸収ピークをもつChR である Chrimson の構造を2.8Aにて決定した。Chrimson の構造を当研究室より報告されている短波長に吸収波長のピークをもつ、ChR のキメラ構造 C1C2 と比較した所、イオン透過経路などの全体構造はおおよそ一致していたものの、レチナール周辺の環境は大きく異なっていた。Chrimson のレチナール周辺には嵩高い残基が多く、レチナール周辺の空間を埋めていた。この残基を嵩の小さい残基に変異させたところ、吸収波長ピークが短波長側にシフトした。このことから、ChR の吸収波長のピークはレチナール周辺のスペースの大きさが関与している事が示唆された。 浸透圧感受:LRRC8は近年同定されたCl-イオンチャネルで、細胞膨張を感知してCl-イオンを細胞外へと放出することで、細胞体積の維持に寄与する。これまでの解析からLRRC8は五量体を形成して機能することが知られているものの、その詳細な立体構造が報告された例は無かった。そこで本研究では、近年膜タンパク質の構造決定手法として目覚ましい進展をみる低温電子顕微鏡を用いてLRRC8の立体構造を明らかにするとともに、イオン透過孔形成機構やチャネル活性化機構をはじめとするLRRC8の作動機構の解明を目的とした。そして、ヒトを含む各種生物由来のLRRC8について哺乳類細胞を用いて発現、精製したところ、内一種についてクライオ電子顕微鏡を用いて4.25A(膜貫通領域は3.8A)分解能で構造決定することに成功した 。
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Strategy for Future Research Activity |
ChRのXFELを用いた時分割構造解析に関しては、現在論文を執筆中であり、数ヶ月以内に投稿する予定である。Chrimsonに関しては、現在論文を投稿中である。浸透圧感受により細胞体積を変化させるLRRC8チャネルに関しては、LRRC8Aのホモヘキサマー構造が解けたので、論文を投稿中である。さらにLRRC8Dホモヘキサマーのクライオ電顕単粒子解析構造も溶けており、さらにLRRC8A5D1のヘテロヘキサマーも調製に成功しており、構造解析を完了し、論文化していく予定である。また、音感チャネルTMCに関しては、liposome patchによりシングルチャネル電流が観測されており、様々な生物種のTMCチャネルをスクリーニングしてクライオ電顕単粒子解析を目指す。プレスチンに関しても、クライオ電顕で均一な粒子が観測されているので、分子量を大きくするため抗体を作成中であり、複合体として構造解析を行う。さらに光合成産物の排出を担う膜輸送体TPT、液胞膜局在のトランスポーターVIT1に関しても、構造機能解析が完了しているので、論文を投稿する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Structure and biological function of ENPP6, a choline-specific glycerophosphodiester -phosphodiesterase2016
Author(s)
J. Morita, K. Kano, K. Kato, H. Takita, H. Sakagami, Y. Yamamoto, E. Mihara, H. Ueda, T. Sato, H. Tokuyama, H. Arai, H. Asou, J. Takagi, R. Ishitani, H. Nishimasu, O. Nureki and J. Aoki.
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 6
Pages: 20995
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Redox-coupled proton transfer mechanism in nitrite reductase revealed by femtosecond crystallography2016
Author(s)
Y. Fukuda, K. M. Tse, T. Nakane, T. Nakatsu, M. Suzuki, M. Sugahara, S. Inoue, T. Masuda, F. Yumoto, N. Matsugaki, E. Nango, K. Tono, Y. Joti, T. Kameshima, C. Song, T. Hatsui, M. Yabashi, O. Nureki, M. E. Murphy, T. Inoue, S. Iwata and E. Mizohata
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 113
Pages: 2928-2933
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Structural basis for amino-acid export by DMT superfamily transporter YddG2016
Author(s)
H. Tsuchiya, S. Doki, M. Takemoto, T. Ikuta, T. Higuchi, K. Fukui, Y. Usuda, E. Tabuchi, S. Nagatoishi, K. Tsumoto, T. Nishizawa, K. Ito, N. Dohmae, R. Ishitani and O. Nureki
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Journal Title
Nature
Volume: 534
Pages: 417-420
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Crystal structures of the TRIC trimeric intracellular cation channel orthologues2016
Author(s)
G. Kasuya, M. Hiraizumi, A. D. Maturana, K. Kumazaki, Y. Fujiwara, K. Liu, Y. Nakada-Nakura, S. Iwata, K. Tsukada, T. Komori, S. Uemura, Y. Goto, T. Nakane, M. Takemoto, H. E. Kato, K. Yamashita, M. Wada, K. Ito, R. Ishitani, M. Hattori and O. Nureki.
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Journal Title
Cell Res.
Volume: 26
Pages: 1288-1301
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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