2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of membrane proteins regulated by physical stimuli
Project/Area Number |
16H06294
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濡木 理 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10272460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 耕一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10262073)
MATURANA ANDRES 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10452004)
加藤 英明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80805961)
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Project Period (FY) |
2016-04-26 – 2021-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 生物物理 / 蛋白質 / X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規ロドプシンである、ヘリオロドプシン(HeR)の結晶構造を分解能2.4Aで決定し,ヘリオロドプシンが既知のロドプシンと基本的に同じフォールドであるにもかかわらず,膜に対するトポロジーが逆であることを発見し、Natureに発表した.ヘリオロドプシンは二量体を形成し,レチナールのシッフ塩基から細胞外側は疎水性残基で遮蔽されており,イオンの流入は起こらず,未知のパートナーを介してシグナル伝達に寄与することが示唆された.音の増幅に働く,ヒト由来Prestinに関して熱安定化変異体を作成し,クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により分解能3.2Aでの構造決定に成功した.Prestinは二量体を形成しており,2つのサブユニットの膜貫通ドメインは傾きつつ離れていた.膜貫通ドメインの傾きが異なる複数の構造状態が確認されたことから,Prestinが電位依存的に陰イオンを感受してトランスポーター様の構造変化(2つの膜貫通ドメインの開閉)を起こし,これと同調して膜貫通ドメインの傾きが変化することで,モータータンパクとして膜に振動を与えることが示唆された(論文準備中).また、マウス由来TRPV3を人工脂質二重層Nanodiscに再構成し,クライオ電子顕微鏡単粒子解析により,分解能3.3Aで構造決定に成功した(論文投稿中).決定した構造においてTRPV3はGly638から成る上部ゲートとIle674からなる下部ゲートの2つのゲートを持っており,先行研究ではすべて開状態であった上部ゲートが脂質分子との相互作用により閉状態を取っていた.このことから脂質により開閉が制御されており,熱で脂質が解離することでチャネルが開く新規のメカニズムを提唱した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ChRのX線自由電子レーザーを用いた分子動画解析を行い、光受容に伴ってチャネルが開く機構を解明することに成功し、論文を投稿中である。ヘリオロドプシンの結晶構造と分子機構を明らかにし、Natureに発表した。音感覚:音感受性機械刺激チャネルTMC-2に関して、コンストラクションを工夫することで、Cryo-EMを用いた単粒子解析に適した試料調製に成功し、リポソームパッチにより機械刺激チャネルであることを実証した(Neuron, 2019)。また、Prestinの構造解析に世界で初めて成功し、音感増幅の機構を解明した(論文準備中)。温度感受:TRPV3に関して、ナノディスクを用いて脂質中の構造をCryo-EMを用い て3.2Aで決定した結果、脂質に依存して温度依存的にチャネルが開閉する機構を明らかにした。浸透圧感受:細胞 膨張を感知してCl-イオンを細胞外へと放出するLRRC8A(6)に引き続き、LRRC8D(6)の構造決定に成功し、N末端の へリックスがふたのように働いて、イオン透過を調節している機構を発見した(論文準備中)。電場感受:味覚シグナルに働く電位依存性ATPチャネルCALHM1に関して,クライオ電顕を用いた単粒子解析により,ホモ8量体の立体構造を2.8A分解能で決定した(論文準備中).CALHM1単量体は4本の膜貫通へリックスからなる新規構造を有しており,それが8量体のチャネルを形成する.本構造は開状態であり,N末端は各単量体からリング状構造の中心にのびてαヘリックスを形成しており,この8つのTM1がチャネルのポア部分を形成していた.また中枢神経系において重要な役割を果たすATP放出チャネルであるCALHM2についても単粒子解析により,11量体の構造を3.4A分解能で構造を決定した(論文準備中)。
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Strategy for Future Research Activity |
ChRのXFELを用いた時分割構造解析に関しては、コンペティターによりレビューが回り論文がリジェクトされてしまったので、eLifeに再投稿し、受理をめざす。浸透圧感受により細胞体積を変化させるLRRC8チャネルに関しては、LRRC8D(6)の論文の掲載を目指す。また、音感チャネルTMC に関しては、liposome patchによりシングルチャネル電流が観測されており、様々な生物種のTMCチャネルをスクリーニングしてクライオ電顕単粒子解析を目指す。プレスチンに関しても、Cryo-EMで新規の立体構造が解けたので、電気生理解析を用いた変異体解析を行い、迅速な論文化を目指している。さらに温度センサーで あるTRPV3に関しても、脂質依存的なチャネルの開閉機構を明らかにしており、論文の投稿を目指す。さらに、阻害剤や温度変化による構造変化をCryoEMを用いて解明し、温度依存的なチャネルの開閉機構の全容を解明する。さらに電位依存性Cl-チャネルVCCN1や電位依存性ATPチャネルCALHM1,2のCryo-EMを用い た構造解析に高分解能で成功しており、現在電気生理解析を用いた変異体解析を行っており、迅速に論文を投稿する。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Crystal structure of plant vacuolar iron transporter VIT12019
Author(s)
T. Kato, K. Kumazaki, M. Wada, R. Taniguchi, T. Nakane, K. Yamashita, K. Hirata, R. Ishitani, K. Ito, T. Nishizawa, O. Nureki.
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Journal Title
Nat. Plants
Volume: 5
Pages: 308-315
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cryo-EM structure of the human L-type amino acid transporter 1 in complex with glycoprotein CD98hc2019
Author(s)
Y. Lee, P. Wiriyasermkul, C. Jin, L. Quan, R. Ohgaki, S. Okuda, T. Kusakizako, T. Nishizawa, K. Oda, R. Ishitani, T. Yokoyama, T. Nakane, M. Shirouzu, H. Endou, S. Nagamori, Y. Kanai, O. Nureki
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Journal Title
Nat. Struct. Mol. Biol.
Volume: 26
Pages: 510-517
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Crystal structure of Heliorhodopsin2019
Author(s)
W. Shihoya, K. Inoue, M. Singh, M. Konno, S. Hososhima, K. Yamashita, K. Ikeda, A. Higuchi, S. Okazaki, T. Izume, M. Hashimoto, R. Mizutori, S. Tomida, Y. Yamauchi, R. Abe-Yoshizumi, K. Katayama, S. P. Tsunoda, M. Shibata, Y. Furutani, A. Pushkarev, O. Beja, T. Uchihashi, H. Kandori and O. Nureki.
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Journal Title
Nature
Volume: 574
Pages: 132-136
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] The bacterial protein YidC accelerates MPIase-dependent integration of membrane proteins2019
Author(s)
M. Sasaki, H. Nishikawa, S. Suzuki, M. Moser, M. Huber, K. Sawasato, H. T. Matsubayashi, K. Kumazaki, T. Tsukazaki, Y. Kuruma, O. Nureki, T. Ueda and K. I. Nishiyama.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 294
Pages: 18898-18908
DOI
Peer Reviewed
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