2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of nanogel hybrid materials for medical application
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16H06313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋吉 一成 京都大学, 工学研究科, 教授 (90201285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
珠玖 洋 三重大学, 医学系研究科, 寄附講座大学教員 (80154194)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | バイオマテリアル / ドラッグデリバリーシステム / 核酸デリバリー / タンパク質デリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
先進医療の進展には、近年注目されているバイオ医薬品(抗体、サイトカイン、核酸、エクソソームなど)を安定に送達、徐放しえる新規バイオマテリアルの開発が不可欠となっている。本年度は、昨年度合成法を確立したコレステロール置換ポリリジン(ChPLL)基盤高分岐3D多糖ナノゲルのキャラクタリゼーションとsiRNAの細胞内デリバリーキャリアとしての機能を調べた。酵素重合で得られる直鎖状アミロースChPLLナノゲルに比べて、タンデム重合法で得られる高分岐ChPLLナノゲルは、コロイド安定性に優れ、siRNAを安定に複合化しえることがわかった。さらに、アミラーゼ酵素に応答して、siRNAの細胞内デリバリーを制御しえる新規デリバリーシステムとして機能しえることが明らかになった。 抗がん性タンパク質を封入した酸化鉄ナノ粒子/コレステロール置換プルランナノゲル複合化磁性ナノゲルは、磁気誘導型のガン集積効果により担がんマウスの高い治療効果が得られることがわかった。また、タンパク質として転写因子を封入した磁性ナノゲルは、磁気誘導により細胞分化能を向上しえることが明らかになり、再生医療応用にむけた新規な細胞操作技術として優れていることがわかった。 コレステロール置換プルラン(CHP)ナノゲルの抗原デリバリーシステムの機能評価においては、オボアルブミン(OVA)をモデル抗原として、皮下投与後のリンパ節移行とリンパ節内細胞分布をイメージングやFACSで調べ、CHPナノゲルがリンパ節内抗原提示細胞デリバリーシステムとして優れた特性を有していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、3D多糖ナノゲルの酵素応答性siRNAデリバリーシステムの開発に成功し、論文にも受理されている。また、金属微粒子ハイブリッドナノゲルである磁性ナノゲルのタンパク質デリバリーのがん治療への有用性や転写因子デリバリーシステムとしても優れていることを見出し、再生医療応用への基盤技術なりえる結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、従来のコレステロール基などの疎水基置換多糖ナノゲルでの知見を踏まえて、ポリプロピレンオキシドなどの温度応答性高分子鎖を部分的に導入した会合性高分子を合成し、その会合挙動と温度応答性を調べ、新規刺激応答性ナノ微粒子としてのDDS機能評価を行う研究を行う。 磁性ナノゲルに関しては、転写因子タンパク質のデリバリーに関する研究をさらに進めるとともに、近年生体由来ナノキャリアとして注目を集めている細胞外微粒子であるエクソソームの新規細胞内デリバリー手法としての機能評価を行う。 コレステロール置換プルラン(CHP)ナノゲルのワクチンキャリアとしての有用性を明らかにしてきたが、本年度は、分岐多糖クラスターデキストリン基盤ナノゲルのワクチンキャリアとしての機能解析を行う。イメージングによるナノゲルのリンパ節への集積挙動、CTL活性をCHPナノゲルと比較検討する。
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Research Products
(8 results)