2016 Fiscal Year Annual Research Report
Service Sector Productivity in Japan: Determinants and Policies
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16H06322
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
深尾 京司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30173305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 努 学習院大学, 経済学部, 教授 (30272777)
川口 大司 東京大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80346139)
阿部 修人 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30323893)
小塩 隆士 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50268132)
杉原 茂 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60397685)
森川 正之 独立行政法人経済産業研究所, 副所長 (70272284)
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | サービス産業 / サービス消費 / サービス統計 / 教育・医療の経済学 / 生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は初年度のため,全体の連携を深める全体会議(H28年7月26日),今後の研究戦略を確認する班長・研究分担者会議(H29年1月25日)に加え,サービス産業生産性に関する大規模な国際会議(H28年8月4-5日一橋大学)を開催した.この会議には米中印他14カ国約60人(うち海外からの参加者28人)が参加した. 以下の報告の通り,今後の研究の基盤作りとしてデータベース構築に注力した.統括・計測班が「サービス品質・価格の日米比較のための国際調査」,生産と消費の同時性班が「サービス消費のための投下時間と消費支出の関係に関するインターネット調査」を実施した.成果の刊行も開始した.内閣府経済社会総合研究所と共同で進めたサービス産業に関する政府統計改善をテーマとするプロジェクト成果4本を英文論文(Fukao, et al.他,『経済分析』で近刊)に纏めた他,深尾は生産性研究の第一人者であるハーバード大学のDale Jorgenson教授,フローニンゲン大学のMarcel Timmer教授と共編で生産性の国際比較に関する本(Jorgenson, Fukao and Timmer, 2016)を刊行し,本プロジェクトの成果2本を収めた.このように,サービス産業の生産性と緊密に関係した研究成果を学術誌に34本(うち英文30本,近刊を含む),書籍に2本,DPを18本発表した. 社会への成果発信として,深尾と連携研究者の滝澤(東洋大学・教授)のそれぞれが、サービス産業の政府統計と生産性国際比較をテーマに日本経済新聞「経済教室」に執筆した.分担者の宮川は統計委員会「統計の精度向上及び推計方法改善WG」座長に就任し、深尾は中小企業庁から委託を受け中小企業の生産性動学分析を実施した(2017年版『中小白書』収録).教育に関する実証研究の成果は,教育再生実行会議第9次提言の柱の一つに反映された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,内外の連携強化と今後の研究の基盤となる調査・データベース構築に注力する予定だったが,全体会議と大規模な国際会議を開催した他,2つの調査を実施した.データベースの入手と構築についても,以下の通り順調に進めることができた. 統括・計測班では,サービス産業を中心に日本の産業・地域経済構造と生産性の変化を計測するための基礎資料である日本産業生産性(JIP)データベース,都道府県産業生産性データベース(R-JIP)の改訂・拡張作業を進めた.両データベースは来年度中に改訂版をウェブ上で公開予定である.更に一橋大学経済研究所と連携して「くらしと仕事に関する調査(LOSEF)」の第1-2回結果を入手し分析を開始した.生産と消費の同時性班では,「サービス消費のための投下時間と消費支出の関係に関する調査」結果の整理に加え,過去に行った調査結果に基づき,市場サービスの質・価格と家庭内サービス生産の代替性に関する分析を進めた.資本蓄積班では,顧客資本の経済効果に関する実証のため,サービス産業生産性協議会が作成した「顧客満足度指数」のデータを購入した他,ICT投資の分析のため国際IT財団の協力により「企業のIT活用の実態と効果についてのアンケート」(2014年11月実施)のデータを入手した.労働・人的資本斑では, OECDと連携して国際成人力調査(PIAAC)個票を入手しデータの整理を開始した.更に,経済産業研究所と協力してサービス業企業の人事データを入手し,また政府統計による雇用者・被雇用者接続データ作成の準備を行った.更に,リクルート社と連携して約100社の新入社員を中心に,学歴,人事評価,適性検査(SPI)結果,離職等の情報を入手した. この他,一橋大学経済研究所の協力を得て,データ保蔵・分析のためのハードウェアを整備し,成果公開のためのホームページを作成した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には,28年度に行った2つの調査結果や構築したデータベースに基づき,サービス産業に関する広範な実証研究を進める. 特に「サービス品質・価格の日米比較のための国際調査」については,一橋大学の予算で招聘した,価格と品質の国際比較の第一人者であるPrasada Raoクイーンズランド大学教授と共同研究を進める.なおこの研究には国際比較プロジェクトを進めているOECDの協力も得られることとなった.この成果については、日本生産性本部を通じて記者発表も行う予定である。この他,建設業GDPの正しい計測を目指し,内閣府経済社会総合研究所の助力により入手した国土交通省の不動産取引情報のミクロデータを使った分析,また大企業と中小企業における労働の質の違いを計測するため,リクルート社から入手した上場企業の主要大学別採用者数資料を使った分析等も進める. 更に,新規の調査として「医療の技術波及とマネジメントに関する調査」、および「サービス消費と就労の関係に関する個人サーベイ」を行う.データベースの面では、日本産業生産性(JIP)データベースの基準改定(サービス産業を含めたR&D支出の資本化等)とJIPを使ったサービス産業における生産性計測改善の試行、日本都道府県産業生産性(R-JIP)データベースの改訂を行い、サービス産業を中心に生産性の地域間格差の要因分解分析を行う. また,国際連携を深めるため,生産性に関する国際連携組織であるAsia KLEMSプロジェクトの総会(サービス産業生産性をテーマとする)と関連したパブリックフォーラムを経済産業研究所等と共催で2017年8月に開催する.
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Remarks |
リクルート社のデータによるデータベース:1) 60~70社の1~3年目を中心とした6000名程度の就業者(上司による評価、離職、SPI、年齢、性別、大学・院卒)、2) 30社の社員3万人(離職、人事評価、SPI、年齢、性別、大卒・院卒) 日本経済新聞朝刊「経済教室」:深尾京司「サービス産業の生産性(上)」2017年2月15日、滝澤美帆「サービス産業の生産性(下)」2017年2月16日
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Research Products
(47 results)
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[Journal Article] The Structural Causes of Japan’s Lost Decades2016
Author(s)
Fukao, Kyoji, Kenta Ikeuchi, HyeogUg Kwon, YoungGak Kim, Tatsuji Makino, and Miho Takizawa
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Journal Title
Dale W. Jorgenson, Kyoji Fukao and Marcel P. Timmer編『the World Economy, Growth or Stagnation?』 Cambridge University Press (図書所収論文)
Volume: -
Pages: 596 (70-110)
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