2018 Fiscal Year Annual Research Report
Service Sector Productivity in Japan: Determinants and Policies
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16H06322
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
深尾 京司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30173305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 努 学習院大学, 経済学部, 教授 (30272777)
川口 大司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80346139)
阿部 修人 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30323893)
小塩 隆士 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50268132)
杉原 茂 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (60397685)
森川 正之 独立行政法人経済産業研究所, 副所長 (70272284)
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | サービス産業 / サービス消費 / サービス統計 / 教育・医療の経済学 / 生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
詳細な産業レベルでサービス産業の生産性計測を可能にするJIPデータベースの全面改訂(2008SNAに対応させ,2015年までカバーした)を,内閣府・経済産業研究所の協力も得て終了させ,JIPデータベース2018をウェブ上で公開した.サービス産業の生産性にとり重要な無形資産投資や情報技術(IT)投入についても,産業別データを整備した. 新規のデータ収集として,Bounfourパリ南大学教授らとの国際連携の下,IT利用度に関する調査(宮川他)を実施した.生産性の重要な決定要因であるマネジメントの医療サービスへの効果に関する調査を内閣府の公式統計「マネジメント調査」の一部として実施することに成功し、対象業種選定や調査票作成に携わった。 国際連携では,6月にハーバード大学で開催された,生産性計測に関する世界を代表する国際連携組織World KLEMSの総会に,深尾,宮川らが出席し,本研究の成果を報告すると同時に,今後の国際連携について欧米・東アジアの研究者と協議し,産業別生産性の国際比較及び情報通信技術と労働をテーマに共同研究を開始した. また,5年間のプロジェクトの中間年として,研究成果の取り纏めと発信を加速した.2016-17年度に行った調査結果や構築したデータベースを元に行った主な研究成果を,余暇への時間・金銭投入に関する一考察(阿部 2018),生産性分析における労働投入の測定 (川口 2018),顧客満足度指数を利用した実証分析(宮川他 2018),サービスの質・価格と消費者の選好(森川),中小企業の生産性動学(深尾他 2018)の4本の論文に取り纏め,学術誌『経済研究』の特集号(2018年秋刊行)に掲載した他, R-JIPデータベースを用いて,サービス産業を中心に都道府県レベルの産業構造と経済発展を分析した研究書『日本の地域別生産性と格差』を東京大学出版会から刊行した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、データの収集とそれを活用した研究論文の執筆が順調に進んでいる。具体的には、1) JIPデータベース2018の作成、中小企業に関するCRDを使った分析(深尾他 2018)等に加え、2) 建設、商業、医療、教育等に関する生産量とその質、デフレーターの作成に関する内閣府との共同研究(深尾・池内 2018、杉原の一連の研究他)、3) R-JIPデータベースおよび企業ミクロデータ等を用いて、日本のサービス産業の地域構造の変化、特に、新しい都市型サービスの興隆による地域間格差拡大に焦点を当てた研究(深尾・牧野・徳井 2018)、4)日本生産性本部より取得した「顧客満足度データ(2009年から2015年)」と財務データの紐づけを行い、顧客満足度と労働生産性に関する研究を実施(石井他 2018)、5)家庭内サービスと市場サービスの代替に関する調査やAI、ITに関する調査を実施し、分析結果を本として刊行(森川 2018)、などを進めた。 順調に研究が進んでいると判断する第二の理由は、多数の研究成果が社会的にも大きなインパクトを与え始めていることである。例えば、国民生活基礎調査を用いた、高齢者の就業率引き上げの可能性の推計結果(Oshio and Shimizutani 2019)は,首相官邸で開催された「第20回未来投資会議」(2018年10月22日)で紹介されるなど、政策論議に一定の影響を与えている。また,サービスの質に関する日米比較調査の結果は、世界銀行・OECDの国際比較プログラム(ICP)の弱点を克服する可能性を示したものとして多くの研究者の関心を集め、ICPのコアメンバーの一人であるPrasada Raoクイーンズランド大学教授が共同研究に参加し(Abe et al. 2018)、ICPの幾つかの会合で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実施した独自調査や入手予定の政府統計ミクロデータ、蓄積した知見等を活用し、次のことを推進する。 1)現行のGDP統計の問題点により生じている生産量やTFPに関する計測誤差の推計、およびJIPデータベースを用いた、現行のGDP統計を改善する代替案の検討 2)サービスの質に関する日中米韓比較調査の実質分析と、ICPの国際比較統計の改善策の検討 3)サービス産業において人的資本蓄積やICT・無形資産投資が停滞している原因の解明(女性や高齢者の雇用問題を含む)4)欧州研究者と連携して実施したIT利用度に関する調査結果の分析 5)「雇用と子育てに関するパネル調査(LOSEF)」の実施と調査結果の分析 6)医療分野で内閣府が実施した「マネジメント調査」ミクロデータを用いた分析 7)政府統計ミクロデータ等を用いた、大企業と中小企業間の生産性格差の分析 8)企業内、企業間の労働の再配分の現状や望ましい再配分を妨げている要因の解明 9)大企業と中小企業間の生産性格差の原因の解明 10)教育産業におけるパフォーマンスの計測や生産性の決定要因の研究 11)サービス産業生産性の地域間格差のうち、物価格差による計測誤差の問題の解決や、土地投入、人口集積の生産性への影響の検証
これらの成果は、学術論文として公表する他、プロジェクト全体で1冊の本として纏めることについて東大出版会と合意している。この本にはまた、各テーマに関する必要な政策の提言も行う。政策提言については、一橋大学政策フォーラムの制度を活用し、シンポジウムと新聞発表を通じて、広く社会に訴えたい。
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Research Products
(42 results)
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[Book] 統計と日本社会2019
Author(s)
深尾京司・池内健太
Total Pages
304
Publisher
東京大学出版会
ISBN
978-4-13-043401-0
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