2016 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the long-term causal effect of economic inequality on educational inequality based on longitudinal survey and experiments of parent-child pairs and international comparison
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16H06323
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
赤林 英夫 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90296731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 渉 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (00406589)
藤澤 啓子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (00453530)
佐野 晋平 千葉大学, 法政経学部, 准教授 (80452481)
繁桝 算男 帝京大学, 文学部, 教授 (90091701)
小林 雅之 東京大学, 大学総合教育研究センター, 教授 (90162023)
大垣 昌夫 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90566879)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | 教育経済学 / 家族の経済学 / パネル調査 / テスト理論 / 実験経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、親子を追跡した調査と経済実験を施行し、子どもの養育環境・親の養育行動・教育政策と教育格差発生との長期的関連を動態的かつ因果的に解明することである。上記の長期的な目的を達成する上で、今年度は以下のプロジェクトを計画的に遂行することができた。 1、【第二世代調査の実施】慶應義塾大学で実施する成人パネル調査(JHPS)の対象者の 18 歳以上の子ども全員(過去に JCPS の調査対象となった子どもを含む)を対象に奨学金の有無・進学・就業・幸福感・性格・所得・家族形成等を尋ねる「第二世代調査」を実施した。 2、【親子経済実験の実施】従来より引き続き、親が子どもに関して保有する価値観と経済状態が子どものしつけに与える影響、さらにはそれに伴う子どもの非認知能力の成長メカニズムに関する経済実験を行った。これまでに経済実験により得られた結果は、2017年6月に開催のSEHO (Society of Economics of the Household) コンファレンスにて報告予定である(発表確定)。 3、【IRT向け学力テストデータ収集】従来の日本の研究者向け学力調査は、学年ごとに異なる項目で構成されており、そのままでは学力の動態変化を厳密に分析することは困難であった。国際的には、項目反応理論(IRT)に基づき、年齢間で等化された指標を学力の変化の分析に利用するのが標準である。そこで、我が国で初めて等化されたテストデータをもつパネルデータを開発する為、都内の2自治体にある9小学校及び9中学校に協力をしていただき、予定していたサンプル数の学力テストデータの収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「第二世代調査」では、できる限り多くの方にご回答いただく為に、紙面調査に加えWEBによる調査も実施したが、当初の目標のサンプル数を収集するまでには至らなかった。 また、「国際連携」については国際コンファレンス等の交流の場を設け、一定の意見交換の成果を行い、将来的にも共同コンフェレンスの開催について合意はあったものの、現在のところ、より具体的な研究の開始には至っていない。現在引き続き共同研究の実施について議論しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、これまでの研究計画に従って進めていく予定である(以下、参照)。 1、【「第二世代調査」の継続的な実施について】「第二世代調査」はH30, H32 年度にも実施予定である。この為、H28年度に実施された第二世代調査の結果を精査し、質問票と実施方法のさらなる精緻化を行う予定である。 2、【親子経済実験の実施】H28年度に引き続き、親子に対して経済実験を実施し、親が子どもに関して保有する価値観と経済状態が子どものしつけに与える影響、さらにはそれに伴う子どもの非認知能力の成長メカニズムに関する因果的知見を得る。さらに、国内外の学会において研究成果の報告を行い、研究の質を高めていく予定である。 3、【年齢間で等化されたテストデータの構築】H28に実施された「IRT(項目反応理論)向け学力テスト」のデータを精査し、我が国では初めて小中学生を通じた学力の精緻な動態分析を可能にする研究用データを完成させる。H29、 31 年度に実施される JCPS(日本子どもパネル調査) には、等化された項目による調査票を用いる。 4、【就学前から学童期への移行調査】H29, 31年度も「就学前児童調査」を実施し、家計状態と就学前児童の心理・行動との関連に関する分析を行う。さらに小中学生調査データとの接合の作業と分析を行う。同時に、郵送式による幼児期から学童期までの追跡調査は我が国では例が少ないため、今後どのように信頼性を確立するか検討する。 研究推進にあたり、本課題で収集するデータを精緻化し、分析面でも補完するデータ(特に国の統計の調査票データ)の利用申請を行い、分析を進める。現在検討しているのは、国民生活基礎調査、就業構造基本調査、21世紀出生児縦断調査、全国学力・学習状況調査、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査、自治体が実施する学力等調査である。
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Research Products
(39 results)