2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research for quantum media conversion in diamond nano quantum system
Project/Area Number |
16H06326
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小坂 英男 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (20361199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水落 憲和 京都大学, 化学研究所, 教授 (00323311)
寺地 徳之 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主席研究員 (50332747)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | 量子メディア変換 / 量子テレポーテーション / 量子もつれ / 量子操作 / 縮退スピン / 幾何学量子 / 光子 / 核子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、固体中のナノ量子システムにおいて、スピン縮退した量子系の幾何学的量子操作により、長距離伝送光子の量子状態を多数の核子で構成された集積量子メモリーに選択的に書き込み、長時間保持し、誤り訂正し、メモリー間の量子もつれを読み出す技術を確立することを目的とする。これにより決定論的な量子中継の要素技術確立を目指し、伝送レートが距離に依存しないスケーラブルな第三世代量子光通信の実現可能性を示す。ダイヤモンド窒素空孔中心に備わる量子システムを中核とし、それを量子情報処理システムとして実用化するために不可欠な、誤り耐性のある集積固体量子メモリーの開発を目指した。
本年度は、二つの核子間の量子もつれ状態を測定することにより、電子の状態と光子により伝送された状態との間の決定論的な量子もつれ測定を可能とする技術を確立した。これにより、光子から核子への量子メディア変換に成功した際には、絶対に失敗のない決定論的な量子状態スワップが可能となった。
まず二つの核スピン間の量子もつれ状態を各々の核スピンの古典状態に基底変換し、次に各々の核スピンの状態を量子非破壊的に射影読み出し(シングルショット読み出し)を行った。後者のシングルショット読み出しについては、窒素では86%、炭素では92%の読み出し忠実度を得ることに成功した。前者の基底変換については、前述のホロノミック量子もつれゲートを応用して実装に成功した。また、NVの電荷状態(中性状態のNV0と負電荷状態のNV-)のシングルショット読み出しにも99.8%の忠実度で成功した。さらに、これらを組み合わせることで量子もつれ測定を行い、その忠実度を評価するために、量子もつれ生成と量子もつれ測定を組み合わせた実験を行った。現状で得られた忠実度は完全ベル測定とは言えないものの、原理的な動作の確認には十分な結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進展しているだけでなく、下記のような予想以上の進展があった。
量子もつれ測定の基礎技術となる量子非破壊のシングルショット測定に関し、窒素で86%、炭素で92%という高い読み出し忠実度を得ることに成功しただけではなく、NV中心の電荷状態(中性状態のNV0と負電荷状態のNV-)のシングルショット読み出しにも99.8%という極めて高い忠実度で成功した。
また、量子もつれ測定のもう一つの基礎技術となる単一電子スピンの量子ゲート操作に関し、量子ゲート操作の忠実度をランダマイズドベンチマークによって評価し、99%以上の操作忠実度を得た。今後、窒素初期化ならびにマイクロ波強度の5倍の増強により99.92%の忠実度が見込まれる。従来の離調のある幾何学量子ビットに比べ今回の離調のない幾何学量子ビットでは、量子ゲート操作の忠実度が格段に向上できることを数値解析によって明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は機械学習によるマイクロ波波形の最適化ならびにソリッドイマージョンレンズ(SIL)の実装などにより忠実度の向上を図り、より完全なベル測定を実現する。
また、複数核子による量子誤り訂正を行う。パリティチェックと同じ要領で、3つのメモリーで一つの論理メモリーを構成し、信号ビットのエラーが二つの補助ビットに同時に反映することを検知し訂正する。提案者独自の縮退スピンに対する幾何学的量子操作を利用する。このためには、メモリー操作に合わせ、ビット反転エラーを効率100%で判別する量子非破壊シングルショット測定が不可欠である。
最終年度までには、ダイヤモンド光電量子変換素子へ向けた取り組みを行う。上述の全技術を総合し、一方向型の量子中継伝送を実証する。光子から核子への量子メディア変換と完全な量子もつれ検出により、転写の成功ともつれ状態を知らせる古典信号(通知)の流れを一方向に限定することができる。これにより、従来(第二世代)の両方向型の量子中継では不可能であったスケーラブルな第三世代の量子通信ネットワークが構築できる。
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Research Products
(59 results)
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[Journal Article] Nitrogen-Terminated Diamond Surface for Nanoscale NMR by Shallow Nitrogen-Vacancy Centers2019
Author(s)
S. Kawai, H. Yamano, T. Sonoda, K. Kato, J.J. Buendia, T. Kageura, R. Fukuda, T. Okada, T. Tanii, T. Higuchi, M. Haruyama, K. Yamada, S. Onoda, T. Ohshima, W. Kada, O. Hanaizumi, A. Stacey, T. Teraji, S. Kono, J. Isoya, H. Kawarada
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Journal Title
The Journal of Physical Chemistry C
Volume: 123
Pages: 3594~3604
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Lithographically engineered shallow nitrogen-vacancy centers in diamond for external nuclear spin sensing2018
Author(s)
R. Fukuda, P. Balasubramanian, I. Higashimata, G. Koike, T. Okada, R. Kagami, T. Teraji, S. Onoda, M. Haruyama, K. Yamada, M. Inaba, H. Yamano, F.M. St?rner, S. Schmitt, L.P. McGuinness, F. Jelezko, T. Ohshima, T. Shinada, H. Kawarada, W. Kada, O. Hanaizumi, T. Tanii, J. Isoya
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Journal Title
New Journal of Physics
Volume: 20
Pages: 083029 1-9
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Spin properties of dense near-surface ensembles of nitrogen-vacancy centers in diamond2018
Author(s)
J-P Tetienne, R.W de Gille, D.A Broadway, T Teraji, S.E Lillie, J.M McCoey, N Dontschuk, L.T Hall, A. Stacey, D.A Simpson, and L.C.L Hollenberg
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 98
Pages: 85402 1-11
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Ultra-long Coherence Times of NV Centres in n-type Diamond2019
Author(s)
Ernst David Herbschleb, Hiromitsu Kato, Yuichi Maruyama, Takuya Danjo, Toshiharu Makino,Satoshi Yamasaki, Izuru Ohki, Kan Hayashi, Hiroki Morishita, Masanori Fujiwara, Norikazu Mizuochi
Organizer
IFQS2019
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[Presentation] Best magnetic-field sensitivities with single NV centres at room temperature2019
Author(s)
E. D. Herbschleb, H. Kato, Y. Maruyama, T. Danjo, T. Makino, S. Yamasaki,I. Ohki, K. Hayashi, H. Morishita, M. Fujiwara, N. Mizuochi
Organizer
第66回応用物理学会春季学術講演会
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