2018 Fiscal Year Annual Research Report
New development of mathematical theory of turbulence by collaboration of the nonlinear analysis and computational fluid dynamics
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16H06339
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小薗 英雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00195728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 行雄 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10107691)
三浦 英之 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (20431497)
久保 英夫 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50283346)
芳松 克則 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (70377802)
前川 泰則 京都大学, 理学研究科, 准教授 (70507954)
隠居 良行 九州大学, 数理学研究院, 教授 (80243913)
小池 茂昭 東北大学, 理学研究科, 教授 (90205295)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | Navier-Stokes 方程式 / Lorentz 空間 / Besov空間 / 最大正則性定理 / 自己相似解 / Liouville 型定理 / エネルギー等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に,n 次元空間てNavier-Stokes 方程式のCauchy 問題を取り扱った.与えられた初期 データと外力が共にスケール不変なLorentz 空間で十分小さければ,時間大域的な軟解(mild solution) が一意的に存在することを証明した.更に初期データが微分可能性を有したBesov型のスケール不変な空間に属していれば,我々の構成した軟解は強解となることを示した.手法は,方程式に付随する非線形項のLorentz 空間における双線形評価式と線形Stokes 方程式の最大正則性定理による.応用として,与えられたデータが斉次関数であれば,Navier-Stokes 方程式の自己相似解が存在することを明らかにした.特に時間大域的軟解の構成は陰関数定理によるので,副産物として,与えられたデータに関する解の連続依存性が従う. 第二に,Navier-Stoes 方程式の適切な弱解を,運動エネルギーおよびその散逸が必ずしも有界でないより一般的な超関数のクラスで考察した.実際,その様な超関数解で,局所的なエネルギー不等式を満たすものを一般化された適切な弱解と名付け,付随する圧力関数とともに,無限遠方で弱い増大度を仮定するならば.初期データのエネルギー有限性が,時間発展後も運動エネルギーとその散逸が有限に留まることを保証し,かつエネルギー等式が成り立たしめ得ることを証明した.この結果は全空間Rn(n≧2)によるのもであるが,特に2 次元平面においては,一般の非有界領域においても,渦度の遠方での減衰度と,領域の境界におけるある種の積分量の符号を仮定するならば,時間発展後も解の渦とその一階偏導関数は領域全体で自乗可積分であることを示した.両者の結果の応用として,Navier-Stoes 方程式の解に対して新たなLiouville 型定理を確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者・小薗は本研究において,全空間における非圧縮性ナビエ・ストークス方程式のベゾフ空間における理論を著しく進展させた.ベゾフ空間は通常のソボレフ空間を微分方向に実補間することによって得られ,ディラックのデルタ関数などの特異点を有する関数を許容する広い関数空間である.ベゾフ空間におけるナビエストークス方程式の研究は,1990年代後半にフランス学派によって開始されたが,専ら適切性のため初期値の関数空間の導出に力点が置かれていた.しかし,ポテンシャルを有するような典型的な外力を除けば,一般には流体場の力学系は初期値に加えて時間発展的外力の影響を考慮しなければならない.すなわち,より物理的に適切な問題設定のためには,初期値と外力の両者に対して方程式を可解ならしめ得る関数空間の抽出が求められる.この様な初期値と外力の双方を出来るだけ広い関数空間から選ぶことによってナビエストークス方程式の適切性を考察する為には,ベゾフ空間における最大正則性定理が有効である.実際,小薗は空間変数に関してはベゾフ空間,時間変数に関してはローレンツ空間を導入し,初期値と外力に対して考えられる最良の関数空間における適切性を証明した.特にそのような時空間の関数空間の設定において,ナビエストークス方程式に付随する双線形評価式を確立したことは.特筆に値する.
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Strategy for Future Research Activity |
流体力学における境界層の理論によれば,高レイノルズ数においてもナビエ・ストークス方程式は流の場を支配するが,粘性が小さい流体においては物体の境界の近傍はプラントル方程式がよりよい近似を与え,境界から離れた流れの場においては非粘性理想流体を記述するオイラー方程式が支配的である.この考えを数学的に厳密に証明するためには,3つの運動方程式の解の差を空間に関して大域的に粘性係数に関して漸近展開することが求められる.その際,展開が有効な時間幅は,粘性係数について一様にとれることを保証しなければならない.本研究においては,2 次元上半平面において,そのような展開可能な時間を初期値の属する関数空間のノルムで評価する.加えて,漸近展開の形から境界層の厚さが粘性係数の平方根に比例することに対する数学的な検証を与える. また,乱流の運動エネルギーや乱流によって運ばれる物質や熱の揺らぎは外部からの注入がなければ一般に減衰する.乱流の運動エネルギーの減衰については最近ある程度分かってきたが,乱流によって運ばれる物質や熱の揺らぎについてはまだ不明のことが多い.ここではそのような量の代表的なものとしてパッシブスカラー(流れによって運ばれるが,流れには影響しないという意味でパッシブなスカラー)の減衰則について解明を目指す.本研究グループではとくにDNS における計算領域サイズLの有限性に注目し検証を行う.
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Research Products
(12 results)