2019 Fiscal Year Annual Research Report
New development of mathematical theory of turbulence by collaboration of the nonlinear analysis and computational fluid dynamics
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16H06339
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小薗 英雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00195728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隠居 良行 東京工業大学, 理学院, 教授 (80243913)
久保 英夫 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50283346)
三浦 英之 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (20431497)
前川 泰則 京都大学, 理学研究科, 教授 (70507954)
芳松 克則 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (70377802)
木村 芳文 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (70169944)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | Navier-Stokes 方程式 / 斉次Besov空間 / 尺度不変空間 / Keller-Segel方程式 / L^p-L^q評価 / 有限時間爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 尺度不変な斉次Besov空間における定常Navier-Stokes方程式の解の存在と正則性について n次元空間において,与えられた外力$f \in \dot B^{-3+\frac np}_{p, q}$ が十分小さければ,$u \in B^{-1+\frac np}_{p, q}$なる定常Navier-Stokes 方程式の解$u$ が一意的に存在することを証明した.ただし,1 ≦ p < ≦, 1 ≦ q ≦ ∞ である.応用として,定常Navier-Stokes 方程式に対する自己相似解が得られる.証明方法は,斉次Besov 空間$\dot B^s_{p, q}$, s>0 におけるHoelder型Leibnitz 規則と,n/p-s を指標とする埋め込み定理である.尚,鶴見により,仮定 1 ≦p < n かつ s>0 は最良であることが明らかにされた. 2. Navier-Stoke流の影響下におけるKeller-Segel方程式系に対する時間大域的解の存在及び有限時間爆発の指標 全平面領域における細胞性粘菌の密度$n$が,速度場 u を持つNavier-Stoke方程式に従う非圧縮性粘性流体の影響下にある場合を記述するKeller-Segel方程式系を,尺度不変な関数空間で考察した.まず,初期値$n_0 \in L^1(R^2)$, $u_0 \in L^2(R^2)$ が十分小さければ,時間大域的な古典解n, uが一意的に存在することを証明した.手法は線形熱半群の L^p-L^q 型評価とその摂動による.更に解が有限時刻で爆発する指標を,u_0 に何ら仮定を課すことなくn_0 のL^1における大きさで表現した.この指標は流体の影響がない場合の$\|n_0\|_{L^1(R^2)}$ の閾値 8π を含むものである.また爆発時刻 T における挙動を考察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者・小薗は本研究において,全空間における非圧縮性ナビエ・ストークス方程式のベゾフ空間における理論を非定常問題と定常問題の双方に渡って著しく進展させた.ベゾフ空間は通常のソボレフ空間を微分方向に実補間することによって得られ,ディラックのデルタ関数などの特異点を有する関数を許容する広い関数空間である.ベゾフ空間におけるナビエストークス方程式の研究は,1990年代後半にフランス学派によって開始されたが,専ら適切性のため初期値の関数空間の導出に力点が置かれていた.しかし,ポテンシャルを有するような典型的な外力を除けば,一般には流体場の力学系は初期値に加えて時間発展的外力の影響を考慮しなければならない.すなわち,より物理的に適切な問題設定のためには,初期値と外力の両者に対して方程式を可解ならしめ得る関数空間の抽出が求められる. この様な初期値と外力の双方を出来るだけ広い関数空間から選ぶことによってナビエストークス方程式の適切性を考察する為には,ベゾフ空間における考察が有効である. 実際際,小薗は関数積のparaproduct 公式を駆使してライプニッツ則型のヘルダー不等式をベゾフ空間において確立し,最良な双線形評価式を導出した.それによって,ナビエストークス方程式の定常解を最も広い外力の空間で構成した.また非定常問題に関しては,細胞性粘菌の方程式(ケーラー・シーゲル方程式)とナビエストークス方程式の混合型に対して,ベゾフ間において局所適切性と解の有限時間爆発の考察したことは特筆に値する.
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Strategy for Future Research Activity |
ナビエ・ストークス方程式のミレニアム問題と関連して,渦度の空間的な集中の度合いを時間変化と伴に制御することによって”特異点の解消”が可能となることが知られている.流体力学の数値計算においてもしばしば登場するBeale-Kato-Majda(BKM)の”解の有限時刻における爆発”の指標では,渦度ベクトルの空間方向の最大値を時間に関して追跡しなければならず,例えば有限個の極をもった解に対しては適用不可能である.そこで, 渦度に対して特異点を許容する関数空間を導入し,最大値ではない様々な空間的ノルムとその時間変化の関係を定量的に評価することにより,BKM に代わる新たな除去可能特異点定理の構築を目指す.BKM の指標は粘性極限ゼロのオイラー方程式に対して得られた定理である.一般にナビエ・ストークス方程式は時間大域的な古典解を有し,反対にオイラー方程式は有限時刻で爆発するとBKM の指標は粘性極限ゼロのオイラー方程式に対して得られた定理である.一般にはナビエ・ストークス方程式は時間大域的な古典解を有し,反対にオイラー方程式は有限時刻で爆発すると予想されている.それ故,BKM の指標は爆発解の時間変化を表現した定理であり,その対偶をとることにより解の特異点(=爆発点)消滅定理が得られる.従って,ナビエ・ストークス方程式の特異点解消のための十分条件は,オイラー方程式と比較して,より緩和されたものであることが期待できる.例えば,まずは粘性係数を固定し渦度ベクトルの2 成分の適当な空間時間ノルムを制御すること により,ナビエ・ストークス方程式の解の特異点解消が可能となり,かつ粘性ゼロの極限操作において特異点がどのように出現するかについて新たな知見を得たい.
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Research Products
(8 results)