2016 Fiscal Year Annual Research Report
Survey of the Disrupted Layer in the 3rd Millennium BC at Kaman-Kalehoyuk
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16H06394
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
大村 幸弘 公益財団法人中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 所長 (10260142)
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Project Period (FY) |
2016-06-22 – 2017-03-31
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Keywords | カマン・カレホユック / アナトリア / 前3千年紀 / 崩壊層 / ヒッタイト / 製鉄技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年の中近東の情勢を鑑みて、その政治的、地政学的に不安定な状況における緊急性と共に、この現況を歴史の転換点と捉え、それを如何に把握し、乗越えていくかを検証するため、重要かつ最優先させるべき調査である。この「カマン・カレホユック遺跡(以後カレホユックと略す)の前3千年紀第3四半期から第4四半期にかけて検出した崩壊層」に焦点を置く調査では、歴史転換の背景を考古学的、自然科学的分析を用いて解明することを試みた。この崩壊層は、コーカサス、カスピ海周辺からヒッタイト民族を含む印欧語族が南下、侵攻した際に生じたものであるとする仮説があるが、同様の崩壊層は同時期のアナトリア各地、さらにはインド、パキスタン、イラン、ギリシアでも確認されている。 カレホユックではこの崩壊層は2014年に初めて検出され、2016年の緊急調査によりその約70%が確認された。アナトリアに侵攻した印欧語族の中心は「鉄と軽戦車」を駆使して古代中近東世界をエジプトと二分したとされるヒッタイト民族であった。製鉄技術はヒッタイト民族により発見されたといわれるが、何時、何処でという根本的な問題は未解決のままである。カレホユックでは、鉄関連遺物はヒッタイト帝国の層位からはもちろん、それに先駆ける前2千年紀第1四半期のアッシリア商業植民地時代の層位でも検出されている。さらに、2014~2015年の調査では、前3千年紀第4四半期の層位からも鉄関連資料が出土し、その一部に製鉄時に排出される鉄滓が確認されていることから、カレホユックで製鉄が行われていた蓋然性が高まった。そして2016年の調査では、崩壊層中から使用痕の残る鉄錘を想起させる鉄球が出土したことが、製鉄の起源を明らかにする大きな手掛かりとなるものと考えられる。鉄の起源と都市の崩壊、時代の転換を、従来の文化編年の枠組みを超えて捉え直す可能性を生み出した。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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