2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H06623
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
折田 奈甫 東北大学, 情報科学研究科, 特任助教(研究) (70781459)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 言語学 / 計算心理言語学 / 言語獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、言葉の獲得における「学習事例の分かりやすさ」の特徴・性質を明らかにすることを目的としている。近年の母語獲得研究では、子どもは多くの事例から言葉と意味の関係を学習するのではなく、起こるのは稀だがわかりやすい事例から言葉の学習を行うことが提案されている。しかし、この「わかりやすい学習事例」についての明確な数理モデルは存在しない。そこで本研究は、言語情報と非言語情報の特徴を定量的に抽出し、この「わかりやすい学習事例」を形式化/予測し、これにより、言葉の獲得に有用な学習事例の特徴や性質を明らかにすることを目指す。
初年度である2016年度は、研究補助金の交付内定が8月下旬であったことも踏まえて、準備期間としてデータ収集準備と研究調査を行った。実験に用いる動画データとして、養育者と子供の日常生活の様子を録画する必要があるが、家庭内での撮影に協力していただける家族がまだ見つかっていない(当初承諾があったがキャンセルとなった)。このままでは当初の研究予定から遅れる可能性があるため、先行研究を再度調査・整理し、既存の利用可能なデータ、あるいは即時に作成開始できるデータを用いて、本研究の主眼となる学習事例の特徴解明を行う方法を考えた。まず、CHILDESなどの既存のコーパスを用いて言語情報の特徴を定量的に抽出する作業を進めている。同時に、非言語情報の推定に用いる予定だった動画データの代用として絵本の書き起こしとアノテーションを検討しており調査を進めている。また、本年度はこの分野を専門とする海外研究者や関連技術に詳しい自然言語処理研究者との打ち合わせを行う機会に恵まれ、有益なアドバイスや関連文献の指摘などを受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、使用するデータとその収集方法を変更する必要が生じたが、大幅な遅れではない。データ変更後の作業は着実に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集・整理の作業が予定以上に膨大であることが見込まれるため、研究補助者を雇用し作業を推進する。
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