2016 Fiscal Year Annual Research Report
可食アクチュエータ: 超生体適合性を有する体内進入ロボット実現のための駆動素子
Project/Area Number |
16H06630
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小松 洋音 東北大学, 情報科学研究科, 特任助教 (30783295)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 可食 / アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,消化吸収することが可能な食材で構成された「可食アクチュエータ」を提案し,可食アクチュエータに関する基本的知見の解明,およびそれを応用した嚥下障害患者への栄養供給システムの構築を目的とする.H28年度はゼラチンを主材料とし,再現性の高いアクチュエータの製作方法,アクチュエータの試作,およびアクチュエータの基本的特性の実験的検討,の各事項について検討した. まず,可食アクチュエータを製作するにあたり,熱可塑性を有し成型が容易なゼラチンを材料として選定し,ゼラチンと水の適切な配合比率について比較検討した.また,三次元造形機により型を製作して材料を流し込むことで部品を造形し,袋構造を構成する場合には,袋を構成する部品を分割して製作し,部品間に液体状の材料を塗って貼り合わせる,可食アクチュエータの再現性が高い製作方法を構築した. 続いて,複数の形状のアクチュエータ・機械要素の試作を進めた.まず,袋状のアクチュエータを作製し,膨張・収縮動作を生成できることを実証した.また,印加圧力と生成力の入出力関係を計測実験により明らかにした.次に,可食という概念が機械要素全般にも拡張できることを示すため,その第一段階として可食吸盤を試作し,間接吸引による負圧吸着が可能であることを確認した.さらに,可食ベローズを試作し,単純な袋状アクチュエータと比較して長大なストロークの動作を実現できた.可食ベローズの実現により,入出力を逆転させることで,可食センサを実現することも将来的に可能になると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼラチンと水を材料として選定し,その適切な配合比率について比較検討して明らかにした.また,三次元造形機により型を製作し,素材を流し込むことで部品を造形し,部品間に液体状の材料を塗ることで貼り合わせる,という方法による再現性の高い可食アクチュエータの構造・製作方法を構築することができた.また,袋状アクチュエータの印加圧力・生成力を計測することで,袋状アクチュエータの入出力関係が線形に近い特性となることを明らかにした. 以上の成果はおおむね当初の計画通りであり,本研究は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
可食材料としてゼラチンのように柔軟な素材だけではなく,セルロースなどの硬質な素材についても利用できないか検討し,可食という概念をアクチュエータのみならず,軸,歯車などの機械要素全般に拡張できることを,複数の機械要素の試作により実証する. 今年度に試作した袋状アクチュエータに基づく脚機構を円筒状に多数配置して生体管内移動ロボットを構築し,動物の内臓・人工胃液を購入することで,人間の食道・胃を模した環境を作り,柔軟管路内で移動が可能であることを実証する.
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Research Products
(2 results)