2016 Fiscal Year Annual Research Report
野球における初期姿勢の違いを考慮したスウィング動作のシミュレーション解析
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16H06651
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
阿江 数通 筑波大学, スポーツR&Dコア, 研究員 (30781538)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 野球打撃 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度では,バットと上半身を対象とした関節角度入力によるシミュレーションモデルの構築を行い,1名の被験者を対象として,上肢および体幹の関節角度を変化させることよって打撃パフォーマンスを向上させるための最適な動作を明らかにした. 男子硬式野球部員を対象としたティー打撃を行った.その被験者のうち,バット・ヘッドスピードが大きく,かつ特徴的なスウィング動作を有していない1名を選定した.モーションキャプチャーから得た同被験者の三次元座標データを用いて,関節角度入力によるシミュレーション(angle-driven)を実現するためのモデルの検討・構築を行った.モデルの構築が完了した後,最適化計算において,上半身の関節角度の時系列データにおける各特徴点を抽出し,同特徴点の大きさおよびタイミングを変化させて,スプライン補間によって再度,関節時系列データを作成した.このように関節角度を変化させることによって,バット・ヘッドスピードの最大値をおよそ5%増大させるための最適な上肢関節の動作を探索した. 最適化計算の結果から,スウィング後半において,主にノブ側(グリップエンド側)の肩関節内外旋,および肘関節屈曲伸展の角速度が大きく変化することなどが明らかとなった.野球の打撃動作では,ボールインパクトが近づくにつれてバットの水平変位が顕著にみられることから,実測値と計算値との間に大きな差がみられたこれらの関節動作は,バット・ヘッドスピードを増大させることに大きく寄与すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
打撃動作の計測,および次年度を予定していたangle-drivenシミュレーションモデルの構築がほぼ完了し,パフォーマンスを向上されるための最適化計算についても1名を対象として実験的に実行ができていることから,順調に進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今現在,1名を対象としたangle-drivenシミュレーションが既に行えていることから,構築したモデルが最終的に本研究課題に対して運用できる可能性が高いと推測される.その一方で,シミュレーションの結果によって得られた動作が,人間の力発揮特性を考慮した上で実現可能な運動,知見となり得るかについても検討を行う必要があるだろう.このため,最適化計算によって得られた動作における関節トルクといったキネティクス的パラメーターを評価することによって,構築したモデルや得られた知見の妥当性および有用性を示すことができると考えられる.加えて,次年度の課題である全被験者の標準動作モデルを対象としたシミュレーションを行う準備を進める.
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