2016 Fiscal Year Annual Research Report
Fli1がCD4陽性T細胞と線維芽細胞に与える影響
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16H06755
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市村 洋平 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90759036)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / Fli1 / 線維芽細胞 / CD4陽性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fli1+/-マウスおよび野生型マウスを用いてブレオマイシン(BLM)誘発強皮症モデルを作成し、病変部皮膚および脾臓におけるCD4陽性T細胞のサブセットを、Th1/2/17細胞およびTh1-, Th2-, Th17-like Tregに注目してintracellular FACSで解析を行った。並行してBLM誘発強皮症モデルの病変部皮膚から線維芽細胞を単離し、real-time PCRを行い、Fli1遺伝子のヘテロ欠損が線維芽細胞の液性因子産生に及ぼす影響について検討を行った。その結果、BLM処理したFli1+/-マウスでは、BLM処理した野生型マウスと比較して、病変部皮膚におけるTh2-およびTh17-like Tregの増加がみられる一方で、脾臓におけるTh1-, Th2-, Th17-like Tregの数に変化はみられなかった。このことから、Fli1の発現低下は皮膚におけるTh2-, Th17-like Tregに影響を及ぼすことが示唆された。線維芽細胞に由来するIL-33がTh2-like Tregの誘導に寄与するという知見に基づき、BLM処理したFli1+/-マウスおよび野生型マウス由来皮膚線維芽細胞におけるIL-33の発現をreal-time PCRを用いて検討したところ、IL-33の発現はBLM処理したFli1+/-マウス由来皮膚線維芽細胞で有意に上昇していた。さらに免疫組織学染色でも同様に、BLM処理した野生型マウス皮膚線維芽細胞と比較してFli1+/-マウス皮膚線維芽細胞においてIL-33が強発現していた。以上の結果から、皮膚線維芽細胞におけるIL-33の発現がBLM処理したFli1+/-マウスにおけるTh2-like Tregの誘導に寄与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮膚線維芽細胞におけるFli1の恒常的発現の低下がIL-33の発現を促し、皮膚局所におけるTh2-like Tregを誘導することが示され、強皮症における「線維化⇔炎症・免疫異常」のクロストークの存在が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた結果に基づき、野生型マウス由来皮膚線維芽細胞、Fli1+/-マウス由来皮膚線維芽細胞、野生型マウス由来CD4陽性T細胞、Fli1+/-マウス由来CD4陽性T細胞の4通りの組み合わせを用いて、皮膚線維芽細胞とCD4陽性T細胞の共培養の実験を行い、CD4陽性細胞のサブセットが変化するか検討を行う。この検討によってFli1遺伝子のヘテロ欠損が線維芽細胞とCD4陽性T細胞のクロストークに及ぼす影響を明らかにできる。さらにサブセット変化を誘導する液性因子に着目して、Fli1がその液性因子の発現を調節するかにつき、クロマチン免疫沈降法で検討する。ここで同定された液性因子が実際にin vivoでCD4陽性細胞のサブセットの変化に影響を及ぼすかにつき中和抗体を用いて検討を行う。最終的に強皮症患者病変部皮膚において鍵となる液性因子の発現に変化があるかについても検討する。
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