2016 Fiscal Year Annual Research Report
血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた頭頸部がんの新規バイオマーカーの確立
Project/Area Number |
16H06759
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
明石 健 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90779331)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 頭頸部がん / バイオマーカー / ctDNA / 血中循環腫瘍DNA / HPV関連中咽頭がん / EBV関連上咽頭がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来の方法と比べて非常に高感度かつ再現性高く遺伝子変異や増幅を検出することが可能なデジタルPCRを用いて血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の解析を行い、頭頸部がんの新規バイオマーカー、特にこれまで実用化されていない「治療効果判定」および「再発予測」のバイオマーカー確立を目的としている。 本年度は、頭頸部がんの中でも腫瘍組織由来のDNA中にウイルス由来DNAが検出されることが明らかとなっているEBウイルス(EBV)関連上咽頭がんならびにヒトパピローマウイルス(HPV)関連中咽頭がんをまずは対象とした。これらのウイルス由来DNAに特異的なプライマー、プローブを作成し、腫瘍組織から抽出したDNAをテンプレートとしてデジタルPCR解析を行い、条件検討を行った。これらのプライマー、プローブが腫瘍組織由来DNAの検出に有効であることを確認した。 文書にて同意を得られたEBV関連上咽頭がん患者ならびにHPV関連中咽頭がん患者より治療前および治療開始後、治療終了後など経過中の複数のポイントで血液を採取し、血漿として保存している。これらのサンプルより順次、血漿中cell free DNAの抽出を行っている。既存の報告と同程度の量のcell free DNAを抽出することができている。 HPV関連中咽頭がん症例において、治療前および治療後の血漿中のcell free DNAをデジタルPCRを用いて解析したところ、治療前に検出されたctDNAが治療終了後には消失していることが確認され、ctDNAがバイオマーカーとしての有用性が強く期待される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EBウイルス(EBV)関連上咽頭がんならびにヒトパピローマウイルス(HPV)関連中咽頭がんのウイルス由来DNAに特異的なプライマー、プローブの作成ならびに有効性確認、条件検討については速やかに実行することができた。 腫瘍患者より血液を採取するため施設の倫理委員会の承認が必要であるが、審査ならびに承認までに時間を要したため、検体の採取開始が当初の想定よりも3,4ヶ月遅れることとなった。症例集積開始後のEBV関連上咽頭がん患者ならびにHPV関連中咽頭がん患者の血液サンプル収集は順調に進んでおり、血漿として保存している。現在、順次、cell free DNAを抽出して保存している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、EBV関連上咽頭がん患者ならびにHPV関連中咽頭がん患者の症例を集積すとともに長期間のフォローアップを行っていく。血漿中のcell free DNAの抽出し、デジタルPCRを用いてctDNAの定量を行ない、視触診所見や画像所見などの臨床経過とctDNA量を比較することでバイオマーカーとしての有用性を検証する。学会報告、論文発表へとつなげていく予定である。 さらに、上記以外の頭頸部がんにおいても腫瘍特異的な遺伝子変異を検索し、これらに特異的なプライマー、プローブを用いてデジタルPCR解析を行うことで、同様にバイオマーカーとしての有用性を検証していく。
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