2016 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期の感情理解における「わからない」反応の発達:「表情」と「会話」に着目して
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16H06820
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
近藤 龍彰 富山大学, 人間発達科学部, 講師 (50780970)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 幼児期 / 感情推測 / 他者理解 / 「わからない」反応 / 表情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1、これまでの研究の論文化、2、予定した研究の実施、3、研究成果の学会発表、の3つの研究成果が得られた。 1に関して、申請者の研究の基礎となる「他者感情理解」に関する知見を論文化した。具体的には、幼児が他者感情を推測する際、他者についての情報量によって、他者と認識することに変化があるのかを検討した。その結果、4・5歳段階から具体的な他者(友達)の感情を認識し、5・6歳段階から一般的な他者(架空の他者)の感情を認識し出すことが示唆された。また、指さしといった行為による回答と、言語による回答の間にも発達的な変化が見られた。この知見は「心理科学」に掲載された。 2に関して、申請した研究計画のうちの1つである「表情」に関する実験を実施した。3歳~6歳の子どもを対象に、様々な表情をカメラの前で作ってもらった。また、成人および自分の表情についての理解も検討した。データ解析を行い、現在論文化の作業を行っている。 3に関して、申請者の研究と関連する「他者感情理解における「わからない」反応」に関する研究知見を学会にて発表した。他者についての情報量を変化させた場合、他者感情推測において「わからない」反応が変化するのか、また反応時間といった非言語指標において不確実性を認識した反応を示すのか、を検討した。その結果、5・6歳段階より、言語・非言語指標の両方で他者感情推測における不確実性を認識した反応を示していた。この知見は「日本発達心理学会第28回大会」にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究を論文化し、かつ申請した研究の実施が行えた。実施した研究も論文化の作業が進んでおり、投稿できる状態になりつつある。また、29年度に計画している研究についても、研究器具が準備されており、研究実施が可能な状態にある。以上の理由から、予定している通りに研究が進んでいる状況であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、1、28年度に行った研究の論文化、2、29年度に計画している観察研究の実施、の2つを行う予定である。1に関しては8月までに行う予定である。2に関しては、8月までに研究協力園と打ち合わせをし、8~9月にかけて順次データ収集を行っていく予定である。
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