2016 Fiscal Year Annual Research Report
複合型糖鎖生合成に必須なN-アセチルグルコサミン転移酵素IIの立体構造解析
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16H06847
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宮崎 剛亜 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 助教 (30775721)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | N結合型糖鎖 / 糖転移酵素 / 複合型糖鎖 / カイコ / N-アセチルグルコサミン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はヒトおよびカイコ由来N-アセチルグルコサミン転移酵素II(GnTII)を大腸菌またはカイコを宿主として組換え発現を行った。大腸菌発現系ではいずれの組換えタンパク質のほとんどが不溶性の封入体に存在していたが、発現ベクターおよび大腸菌株の検討により可溶性タンパク質として得ることができた。ヒト由来GnTII(GnTII)についてはUDP-N-アセチルグルコサミンをドナー基質、ピリジルアミノ化による蛍光標識を施したGlcNAcMan3GlcNAc2糖鎖をアクセプター基質としたときに糖転移反応を示した。さらにX線結晶構造解析を行うため結晶化条件のスクリーニングを行ったが、有望な結晶が得られていないため、引き続き条件検討を行っている。 また分泌シグナルを付加したhGnTIIまたはカイコ由来GnTII(BmGnTII)をコードする組換えBmNPVバクミドを構築し、カイコ幼虫に注射したところ、体液中に組換えGnTIIの発現を確認した。カイコで発現させた酵素はいずれも大腸菌で発現させた酵素より分子量が大きく、N結合型糖鎖切断酵素PNGaseFを作用させることにより分子量が小さくなったことから、N結合型糖鎖が付加していることが考えられた。活性測定の結果、組換えBmGnTIIはhGnTIIと同様にMn2+イオンを補因子とした糖転移反応を触媒することが明らかになった。また、カイコで発現させた酵素は大腸菌で発現させた酵素より高い活性を有することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、ヒトおよびカイコ由来Nアセチルグルコサミン転移酵素の大腸菌またはカイコ宿主発現系の構築・精製・結晶化条件検討であったため、結晶化には至っていないものの、おおむね目標は達成しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は結晶化に適したコンストラクトの作製を中心に遂行する。大腸菌を用いて発現させる酵素については活性に必須な最小単位のN末端またはC末端欠損変異体の作製などを行い、引き続き結晶化条件のスクリーニング行う。カイコで発現させる酵素については体液中の発現量を向上させるため、タグの種類やシグナル等を検討する。またBmGnTIIについては機能を明らかにするため、組換え酵素を用いた詳細な酵素学的諸性質や基質特異性の解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)