2017 Fiscal Year Annual Research Report
Of Inhumanism in the Contemporary Philosophy as the Heritage from Natural Philosophy of Deleuze
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16H06918
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 卓也 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (50611927)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | ドゥルーズ / 自然哲学 / ポスト・カント派 / ドイツ観念論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの哲学を自然哲学として提示し、現代哲学に対するその影響を特定することを目的としている。前年度は、後期の著作『千のプラトー』(1980)におけるイェルムスレウの言理学の分析を中心に、ドゥルーズ=ガタリの自然哲学における非人間主義的特性を明らかにした。これについては、『フランス哲学・思想研究』(第22号)にて論文として公表されている。今年度は、前年の研究結果を踏まえ、①ドゥルーズの自然哲学への影響関係を哲学史的に特定すること、さらに、②その現代的意義を明らかにすることを目的とした。①では、ドゥルーズの自然哲学の理論的源泉としてドイツ観念論に着目し、とりわけ、シェリングやフィヒテをはじめとするポスト・カント派の影響を明らかにすべく、ドゥルーズが参照するマルシャル・ゲルー、ジャン・ヴァール、フェルディナン・アルキエの著作との関連を調査した。これについては50年代初期ドゥルーズの哲学に対するポスト・カント派の理論的影響を考察した論文として公表すべく準備を進めている。②については、英米圏の人文科学に与えたドゥルーズおよびガタリの理論的影響を特定する作業を進めた。注目したのは、90年代以降におけるフェミニズム関連分野におけるドゥルーズ=ガタリ哲学の継承と援用である。科学技術の進展を念頭に置き、近代的な人間像を批判するロジ・ブライドッティ、サイボーグや同伴種を論じるダナ・ハラウェイにおける「ポスト・ヒューマニズム」に対し、これを批判するクレア・コールブルックの非人間主義が、適切にドゥルーズ=ガタリの自然哲学を継承していることを明らかにした。こうした文脈が、新唯物論や思弁的実在論、さらには、地球環境に対する人間の影響力を問題とする人新世(anthropocene)といった2000年代以降の思想へと連なる経緯についての論文を現在準備中である。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)