2016 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア障害関連分子に着目した薬物中毒における腎障害の新規評価法の開発
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16H06948
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 季子 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (50783635)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 法医学 / 腎障害 / 薬物中毒 / 尿中L-FABP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は薬物中毒例における腎障害の死後診断マーカーを確立することである。腎障害は臨床では血中クレアチニンをはじめとする機能的評価が主としてなされており、死後のサンプルでは死後変化のためそれを応用するのが困難である。よって、死後経過に対して変動の小さい組織学的評価あるいは生化学的評価が求められているが、定まった方法はない。本研究では近年腎障害に関連すると言われているミトコンドリア傷害に着目して機序を検討することで、簡便かつ安定した組織学的・生化学的マーカーの確立をはかる。 初年度は対象事例の収集、薬毒物検査、一般染色による組織像の確認、一般生化学検査、近年臨床で用いられている腎障害マーカー検査と免疫組織化学検査を行った。 ヘマトキシリン・エオジン染色では腎組織には死後変化以外の著明な障害は明らかでなかった。また、一般生化学検査である血中クレアチニン・尿素窒素では薬物摂取群と対照群に差は見られなかった。薬物中毒例では横紋筋融解によってミオグロビン円柱が出現するともいわれているが、今回のサンプルの免疫組織化学検査では腎組織中のミオグロビン円柱は確認されなかった。近年利用されている腎障害マーカーである尿中L-FABPは対照群ではほぼ検出下限以下、薬物摂取群で上昇がみられ、平成29年度実施予定のミトコンドリアなど細胞内障害の検討と合わせて薬物摂取時の腎障害マーカーとして利用できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初集積した事例を背景調査した結果、対象から除外すべき例が多くあり再選定が難航した。また、薬物分析を行う環境の整備に日数を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後細胞内障害の評価を行い、既存マーカーの変動とともに腎障害評価のための評価法を検討する。
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