2016 Fiscal Year Annual Research Report
ドキソルビシン心筋症の新規病態機序解明と治療法開発
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16H07150
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
タン コウ 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80625632)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 循環器 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓は負荷に対する適応として心筋リモデリングを生ずる。すでに多くの心肥大誘導因子が知られているが、心不全に至る適応破綻の機構は十分に解明されていない。本研究は、細胞修復反応に関わるATM (血管拡張性失調症の原因遺伝子) を中心としたシグナル伝達経路に着目し、生活習慣病やドキソルビシン心筋症に対する治療法開発の糸口とすることを目的とする。特に、心肥大等の心臓病態における修復機構としての役割の解明を目指す。我々はすでに本シグナルが血管内皮細胞機能やドキソルビシン心筋症等の心臓病態において重要である知見を得ている。ATM、H2AX欠損マウスは作成済みであり、いずれも心臓の発達や肥大に異常を生ずるという予備データを得ている。そこで、これらのマウスの心臓に負荷を与え、いずれの細胞におけるDNA修復因子が心臓の負荷適応と破綻に関わるかを明らかにする。 本研究では、まず心臓の負荷適応と破綻におけるDNA損傷応答反応を司るATMとH2AXに着目し、心臓の負荷適応と破綻における役割を個体レベルで解析する。特に、ドキソルビシン心筋症におけるATMとH2AXの役割の追求、さらに、ドキソルビシン心筋症の予防薬となる可能性のあるデクスラゾキサン(dexrazoxane)の作用機序の解明および、心筋症の予防ないし治療効果を明らかにする。平成28年度に大動脈縮窄圧負荷モデルと心筋梗塞モデルを作成し、心肥大から心不全に移行する際のDNA修復因子の発現分布および量の変化を明らかにし、心臓の負荷適応と破綻に関わるかを明らかにするため、マウスの作出を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは当初計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は当初計画通り推進する。具体的には以下の通りである。 薬理学にプロテオミクスを導入したファーマコプロテオミクスを用いて負荷適応と破綻の際にin vivoで相互作用する因子を単離し、心不全への新しい治療標的を同定する。DNA損傷応答因子(ATM、H2AX)の心臓の適応と破綻における役割の解明、さらに臨床へのトランスレーションを目指し、これらの因子を対象としたバイオマーカー開発ないし創薬を目指す。
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