2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H07384
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
都島 梨紗 東亜大学, 人間科学部, 講師 (70779909)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 非行からの立ち直り / 逸脱・社会問題研究 / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,公的機関による「立ち直り」支援に着目して,非行少年の「立ち直り」を継時的に明らかにすることである。そのために本研究が取ったアプローチは,(1)非行少年による,非行をしないための諸実践とその類型の調査,(2)支援者における立ち直りに対する認識と,支援の有用性の調査,(3)(1)と(2)を照合し,公的な取り組みが,非行少年に与えるインパクトの検討の3点である。 当該年度は,非行経験者へのインタビューと支援者へのインタビューを中心に行うことを計画した。実際の研究活動としては,これまで築き上げたフィールドとの関係調整に加え,(1)と(2)の調査をさらに円滑に遂行するためのフィールド開拓を中心として実施した。その結果,当該年度においては,非行経験者数名へのインタビュー調査ならびに,九州地区を中心として新たな非行支援者との関係性を築き上げた。 加えて,非行支援現場における「立ち直り」の特性をより的確に捉えるために,非行少年に類似する生き辛さを抱える児童虐待の当事者ならびに支援者への調査も新たに開始した。今後は,これまで申請者が実施した非行少年に関する調査の事例と,児童虐待に関する事例とを比較検討しながら「立ち直り」実践における当事者と公的支援の連関についてより広義な視座に基づく整理を試みる。 また,本研究は国際比較も視野に入れた研究設計を持っている。申請当初は先行研究事例の豊富さからアメリカの事例との比較を試みたが,日本と類似する少年法制度を有する台湾との比較を試みることにした。当該年度においてすでに,台湾の少年補導委員会や少年院の視察を予備的に実施し,支援者との関係性構築も行った。今後は,日台の「立ち直り」支援の比較検討を行い,日本における「非行からの立ち直り」の特性を明らかにするべく研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,研究を開始するに必要な最低限の備品の購入,基本的参考図書の購入を行った。加えて,今後の研究をスムーズに展開できるよう,新たな地域や国外の非行支援ネットワークを形成した。次年度以降,確実に調査を継続し整理・分析をしていくための,基盤づくりができたといえる。また,研究会への出席や学会での報告を通して本研究課題の成果報告の実施や,最新の学術知を得ることができた。次年度以降,論文等でのアウトプットを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,申請者がこれまで5年以上かけて収集したデータに加え,本科研で得られたデータをもとに,非行や被虐待経験や不登校といった,社会的なハンディキャップからの「立ち直り」における当事者および支援者の実践について,整理・分析を行う。次年度は,引き続き調査を実施しながら,積極的な学会報告ならびに学術論文の発表を視野に入れたい。
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Research Products
(2 results)