2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H07398
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
杉浦 克哉 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (40781498)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 現在分詞 / 前位修飾 / 後位修飾 / 史的統語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在分詞による名詞前位修飾構造の研究成果として、2016年11月に『日本英語学会第34回大会』にて、タイトル「名詞を前位修飾する現在分詞の範疇と派生に関する一考察」を発表した。発表内容をまとめた論文「名詞を前位修飾する現在分詞の範疇と派生に関する一考察」が、2017年2月に論文集JELS 34(日本英語学会発行)として公刊された(pp. 172-178)。本研究成果のうち、特に心理動詞の歴史的発達を示した調査結果は経験的領域において歴史言語学に貢献する。 次に、現在分詞による名詞後位修飾構造の研究成果として、2017年1月に論文“A Head Raising Analysis of Participial Relative Clauses”が論文集Linguistics and Philology 36(名古屋大学英語学談話会)として公刊された(pp.1-28)。分詞関係節にwh関係節の主要部繰上げ分析を適用し、主要部名詞が繰り上がるためにはD構造が必須であると主張した。そして中英語の分詞関係節の限定詞の分布を調査し、分詞関係節のD構造は14世紀に確立されていたことを示した。また、現在分詞による名詞後位修飾構造の史的発達の研究成果を、査読付き雑誌IVY 50(名古屋大学英文学会発行)に投稿するため原稿を作成しており、2017年5月に投稿予定である。現代英語でbe + V-ing形が使用される状況において、be + V-ing形が使用されず単純形で動作の進行が表される表現が近代英語にどの程度あるかの調査を行い、当初想定していた結果を得ることができた。分詞関係節は理論的、記述的いずれの分析も非常に少ないことから、本研究成果は理論言語学、歴史言語学に貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
With独立分詞構文、現在分詞による名詞への前位修飾構造、現在分詞による名詞への後位修飾構造の3つが昨年度の研究テーマであった。このうち現在分詞による名詞への前位修飾構造・後位修飾構造の研究はおおむね当初の予定通り進んでいる。しかしwith独立分詞構文の研究は、当初より遅れている。理由は3つある。1つ目は、当初計画していた3つのテーマの研究量が予想以上に多かったことである。2つ目は、中英語、近代英語の文献を読み文脈を判断することに時間を要したためである。3つ目は、with独立分詞構文の研究よりも、現在分詞による名詞への後位修飾構造の研究を行う方が成果を出しやすいと判断し、with独立分詞構文の研究の優先順位を下げたためである。2016年度より現在分詞による名詞への後位修飾構造の史的発達をテーマとして査読付き論文の原稿を作成している。2017年5月にIVY 50(名古屋大学英文学会発行)へ投稿予定のため、2017年6月よりwith独立分詞構文の研究を再開させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年6月からwith独立分詞構文の研究を再開させる。文脈の判断に時間がかかることが予想されるが、比較的、読みやすい英語が多い近代英語の文献の調査を優先しwith独立分詞構文の分布の調査を行う。調査結果を2017年8月のワークショップで発表する予定でいる。 並行して、現在分詞の名詞への後位修飾構造の研究の過程で調査したテーマである「be動詞+V-ing形による進行形用法の確立」に関する研究を行う。先行研究には、初期の英語において単純形が動作の進行を表した用法を調査した研究がないためこれを歴史コーパスで調べる。また、進行相の歴史的発達を生成文法理論で分析した研究もないためこれも行う。研究結果を2017年8月に行われる『第4回史的英語学研究会』で発表する予定である。そこで受けた指摘をもとに研究を進め、2017年12月に日本英語学会国際春季フォーラムに応募する予定である。このテーマは、現在分詞の名詞への後位修飾構造が18世紀にAspPへ再分析されたことと深く関わる。 関連するテーマとして、過去分詞による名詞への後位修飾構造の研究を2018年から行う予定でいる。このテーマと現在分詞の名詞への後位修飾構造の研究を合わせ、成果を査読付き雑誌へ投稿する計画である。それにより名詞を後位修飾する分詞の研究が完成する。 2017年10月あるいは2018年1月から分詞前置の英語史における分布を調査する。当初の計画通り、近代英語における分詞前置の分布調査から始める予定である。
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Research Products
(3 results)