2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16J00119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北崎 勇帆 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 日本語史 / 文法史 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語の用言命令形について①行為要求表現・命令形の性質の変化、②命令とは異なる振る舞いをする場合についての研究を進め、並行して③文法変化の類型に関する研究、④日本語史研究への情報学的アプローチの研究の成果の公開を行った。 ① 狂言台本を主資料とし、中世後期から近世前期にかけての行為要求表現の体系変化を示した(「通時コーパス」シンポジウム2018)。 また、命令形の質的変化に関しては、非意志的な事態成立の希求の際に命令形の使用が忌避され、命令形の持つ意味が「希求」から「命令」へと限定されていくことについて論文を発表した(『埼玉大学紀要人間学部篇』17)。 ② 平安・院政期の漢文訓読資料に見られる「であれ」の類の文法的性質についての研究成果を公表し(第117回訓点語学会、『訓点語と訓点資料』第140輯)、文法変化の方向に文体差が関わることを指摘した(GJNL-2)。その他、順接仮定条件を作る命令形(『国語国文』87-5)、形容詞命令形による「遅かれ早かれ」の史的変遷(『国語語彙史の研究』37)についての成果を公表予定である。 ③ 本研究が注目する「命令から条件へ」という変化が、文法変化の研究の文脈で指摘される「間主観化」に反する一群であることを示し(『日本語学論集』第14号)、この変化類型と類似する「ようが」「まいが」の史的変遷について、口頭発表を行った(近代語研究会2017秋季大会)。 ④ 同一あらすじを持ち成立年代を異にする日本語史資料組の自動対応付けについて、『虎寛本』狂言台本の電子テキスト化を行った上で、研究代表者による既存手法の改善を提案した(じんもんこん2017)他、国立国語研究所編のコーパスの構築について(第114回 人文科学とコンピュータ研究会発表会)や、デジタルアーカイブの取り組みについても共同発表を行った(Digital Humanities 2017)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」に示した通り、研究は当初の予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も、特に上記①②に関する研究を進め、博士論文として取りまとめを行う予定である。
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Research Products
(12 results)