2016 Fiscal Year Annual Research Report
三自由度振動アクチュエータとそのセンサレス制御に関する研究
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16J00413
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 雅之 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | リニア振動アクチュエータ / リニア共振アクチュエータ / 多自由度アクチュエータ / ベクトル制御 / 三自由度振動アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,三自由度振動アクチュエータを開発する前段階として,機械的共振を活用することにより三軸の独立駆動を可能とする三自由度共振アクチュエータを提案した. 三次元有限要素法による磁場解析から,ベクトル制御を適用した場合の静推力特性を検証した.結果として,駆動軸方向の変位に対してはおおよそ発生推力を一定に保つことが可能であったが,駆動軸以外の方向に変位した場合に推力の発生面が減少し,従来のベクトル制御では発生推力を一定に保つことが困難であることがわかった.これに対して,すべてのコイルを使用し電流を決定する制御手法を新たに適用したところ,十分な推力一定性が確認された. 同様に磁場解析および制御ブロックモデルを使用した連成シミュレーションから提案したアクチュエータの動作特性を検証した.一軸のみを駆動させた場合,X,Y,Z軸のすべてにおいて目標値通りの振幅で駆動可能であることが明らかとなった.またこのときの他軸への干渉は微小であった.同様に二軸,三軸同時駆動させた場合も,目標通りの振幅で駆動させることができた. 次に,提案したアクチュエータの試作機を作製した.また動作特性の測定環境を構築し,性能評価を行った.結果として,単軸駆動,二軸同時駆動(XZ駆動,YZ駆動)が良好に達成されることを確認した. さらにアクチュエータの設計とは別に,実用化に向けて課題となってくるサイズ面に対する解決方策として,負荷センサを要しない制御手法を提案した.電圧の非印加区間においてコイルに発生する逆起電圧信号と入力Duty比を使用し,位置センサや電流センサを使用することなく負荷を推定することができる.有限要素法を用いた磁場解析から,負荷の大きさによらず十分な精度で負荷を推定できることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は三自由度振動アクチュエータを設計する前段階として,機械共振を有効活用する三自由度共振アクチュエータを提案した.共振周波数以外の入力に対する感度が低いという共振現象の特性を生かし,他の駆動軸への干渉を抑えながら三軸方向に独立に振動可能であることが確認できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
制御回路が三軸同時駆動に対応しておらず,今年度は実験において三軸の同時駆動が達成されることを確認できなかった.加えて,制御時には5つのコイルの電流値を決定する計算コストの高い演算を要するため,ソフトウェア・ハードウェアの改良を行う. また,三軸方向に任意の周波数で駆動させた場合の駆動特性を明らかにしていく.
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