2016 Fiscal Year Annual Research Report
通常学級における階層的予防モデルによる相互依存型集団随伴性の適用に関する研究
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16J00419
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩本 佳世 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 相互依存型集団随伴性 / 通常学級 / 発達障害児童 / 学習準備行動 / 学業成績 |
Outline of Annual Research Achievements |
相互依存型集団随伴性は、通常学級の全児童生徒の行動面と学習面への効果が示されている。しかしながら、児童生徒の行動改善の成果として学業成績に派生効果がみられるかどうかについての検討は、研究として実施することが困難であるために、これまでに行われた研究はわずかである。 平成28年度は、発達障害児童の在籍する通常学級において、学習準備行動に対する相互依存型集団随伴性を導入し、発達障害児童を含めた全児童の学習準備行動を達成した児童の割合が増加するかどうかを検討した。合わせて、発達障害児童を除いた全児童の学業成績への派生効果の検討を行った。 具体的には、小学5年生の3学級(発達障害児童7名を含めた102名)の全児童及びその担任教師を対象とし、通常学級の漢字テスト場面で実施した。標的行動としては、学習準備行動(漢字テストが開始される前までに机の上に鉛筆1本と消しゴム1個を置くこと)を選択した。学業成績は、発達障害児童を除いた全児童の漢字テストの学級の平均偏差値を算出して、集団随伴性の介入前後で学級間での比較を行った。相互依存型集団随伴性手続きとしては、3~6名が1班の構成で標的行動の達成を目指し、記録用紙に基づいて児童が記録を行った。その児童の記録を担任が評価し、班全員が標的行動を達成した場合に、班全員に報酬(シール)が提供された。学級間多層ベースラインデザインを用いることにより、相互依存型集団随伴性の効果を検討した結果、3学級共に、発達障害児童を含む全児童の学習準備行動を達成した児童の割合が増加した。1学級において、発達障害児童を除いた全児童の学業成績への派生効果がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、当初から予定していた発達障害児童の在籍する通常学級での研究協力が得られ、研究データの収集を行うことができ、おおむね仮説通りの結果を得た。研究は当初の予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
【目的】援助報告(Tootling:Skinner, Cashwell, & Skinner, 2000)に対する相互依存型集団随伴性を導入することによって、学級全児童の援助報告数が増加するかどうかを検討すると共に、援助報告数の増加がともなう場合は、学業成績への派生効果の検討を行う。 【方法】(1)対象者:公立小学校の通常学級の5年生の58名(2学級)及びその担任教師。(2)標的行動:学習内容に関連する援助報告をする。(3)手続き:相互依存型集団随伴性手続きは平成28年度と同様の手続きとする。(4)実験デザイン:AB+プローブデザインを用いて、相互依存型集団随伴性の効果を検討する。
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