2016 Fiscal Year Annual Research Report
地域の再生可能エネルギー利用最適化の為の共創システム設計支援プラットフォーム開発
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16J00845
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 啓子 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 多目的最適化 / 再生可能エネルギー / 遺伝アルゴリズム / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、再生可能エネルギーの組み合わせと、地域でのエネルギーの利用と管理に関わる施策の選択を同時に最適化できる共創システム設計の支援プラットフォームの構築を目的として計画された。本研究遂行のためには、博士課程前期までに開発していた単目的の再生可能エネルギー地域別最適化ツールREROUTESを基に、研究課題①:制度と新技術の実装シミュレーションによる共創システム設計機能の拡張、研究課題②:再生可能エネルギー需給の動態シナリオの可視化による順応的システム設計機能の付加、研究課題③:エネルギーシステムの共創的意思決定支援機能のための多基準最適化モデルの構築の3課題に取り組むことを計画していた。 研究開始第1年目である平成28年度には、研究課題①と②に関しては、平成29年度以降に本格的に取り組むための研究スキームの設計を行った。平成28年度に主に取り組んだ課題は課題③であり、目指していた多目的最適化機能の構築を行い、対象地域における多目的最適化結果を導出できる段階に達した。 再生可能エネルギーミックスの単目的最適化ツールであったREROUTESを改良して多目的遺伝アルゴリズムを実装することで、経済性や環境性能等を複合的に考慮した多目的最適化機能を有したモデルを構築した。開発したモデルを新潟県佐渡市や東京都千代田区等に適用した結果、地域のエネルギー需給特性を反映したパレート最適解集合を導出でき、実行可能解の存在領域やトレードオフ関係にある目的関数を可視化できた。それにより、トレードオフを有する再生可能エネルギーミックスのオプションを定量的に示すことが可能となり、エネルギーシステムの策定にあたり地域のステークホルダーが協議する際に活用できる結果を導出することができた。ここまでの結果について国内外の学会で発表すると共に、人工知能学会論文誌に論文投稿を行い、現在査読を受けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するために掲げていた3研究課題のうち、そのうちの一つの「エネルギーシステムの共創的意思決定支援機能のための多基準最適化モデルの構築」を行い結果を公表するに至ったため、『(2)おおむね順調に進展している。』を選択した。平成28年度の研究成果について査読付きの論文投稿が実績に挙げられていないが、平成28年度11月に日本人工知能学会論文誌に論文を投稿済みであり、現在その査読結果を待つ状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究課題①:制度と新技術の実装シミュレーションによる共創システム設計機能の拡張,研究課題②:再生可能エネルギー需給の動態シナリオの可視化による順応的システム設計機能の付加に取り組む。 研究課題①については、各再生可能エネルギーの導入シミュレーションを個別に行い後に統合することを目指し、住宅用の太陽光発電の導入シミュレーションから着手する。ある地域の世帯や行政、金融機関等をエージェントとしてマルチエージェントモデルを構築し、最も迅速に太陽光発電の導入が進むルールすなわち政策を分析するというスキームで研究を遂行する。今後は詳細な各エージェントの行動ルールと選択メニューを、実在する地域の実情を反映しながら設計し、シミュレーションを行う予定である。 研究課題②については、将来的な地域の需要の変化に対応した再生可能エネルギー利用システムを構築するために、滋賀県の基礎自治体にて適用されている「社会経済状況および温室効果ガス排出量の定量推計ツール」を本研究で開発するプラットフォームと統合させる予定である。この定量推計ツールは、将来のライフスタイルの変化予測から対象地域のエネルギー需要と温室効果ガスを動的かつ定量的に推計するツールであるため、ここで算出された将来のエネルギー需要を入力としてエネルギーシステムの多目的最適化を行えるよう本プラットフォームの数理モデルの改良を進める。 なお、特定の地域に密着しながら対話的にエネルギーシステムの最適化を行うプロセスを実践するため、滋賀県高島市を対象地域としてその応用を行うことも計画している。その実践の中で、対象地域の様々なステークホルダーの意見を収集及び反映しながら、開発した数理モデルを用いてエネルギーシステムの最適化を行い、それを可視化して地域に還元するまでの一連のプロセスを試行し、モデルおよび最適化プロセスの検証を行う。
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Remarks |
当該ページの「Research target_04: Natural Symbiotic System Design」に挙げられている「R4-1: Development and Application of a Multi-Objective Optimization Tool for Renewable Energy Mix in Municipalities」が自身の研究である。
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Research Products
(8 results)