2017 Fiscal Year Annual Research Report
Isotopy invariants of surface knots
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16J01183
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 勝巳 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | カンドル / Alexander多項式 / Milnor不変量 / 結び目 / 曲面結び目 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は大きく分けて4つの研究を行ったが、1つ目は前年度から行っていたsmooth quandleについての研究をまとめることであった。具体的には、前年度までに連結で推移的なsmooth quandleの(内部)自己同型群がLie群を成すことを示していたが、特にsmooth quandleがコンパクトであるとき内部自己同型群の単位元を含む連結成分もコンパクトになることを示し、これを用いてコンパクト3次元smooth quandleの分類を与えた。 次に、カンドル不変量とバイカンドル不変量の関係について調べた。バイカンドルはカンドルの一般化とみなすことができるが、今回の研究により、バイカンドルから得られる(曲面)結び目の不変量でよく知られているもの、すなわち基本バイカンドルやコサイクル不変量、ホモトピー不変量等についてはカンドルから得られるものに帰着されてしまうということがわかった。 また、結び目のAlexander多項式の零点の配置に関する研究、特に「交代結び目のAlexander多項式の零点は全てその実部が-1より大きい」というHosteの予想について研究を行った。結果として、全ての2橋結び目及び交代的なプレッツェル図式を持つような結び目(非自明な多成分絡み目を含む)に対しHosteの予想を肯定的に解決したが、さらに一般のMontesinos結び目について研究を行い、Hosteの予想に対し無限個の反例が存在することを証明した。 さらに最近の研究として、曲面絡み目に対するMilnor不変量の構成を行った。Milnor不変量は元々1次元絡み目に対して定義されていた不変量で、その一部はlink-homotopy不変であることが知られているが、今回定義した不変量についてもその対応する部分がlink-homotopy不変であることを示した。これにより曲面絡み目についても多くの非自明なlink-homotopy類が存在することがわかったが、実際どの程度link-homotopy類を分類することができるのかなどについては現在研究途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定ではsmooth quandleの局所構造やその変形を用いて新たな不変量を構成することを挙げていたが、これについて大きな進展はなかった。一方バイカンドル不変量とカンドル不変量との関係については予定通り、もしくはそれ以上の結果が得られたのではないかと思われ、また当初予定していなかったHosteの予想やMilnor不変量についての研究でも十分な結果が得られた。特に曲面絡み目に対するMilnor不変量の構成は2年度目に限らない本研究課題全体の遂行の上でも重要な意味を持つのではないかと考えており、総合すると「おおむね順調に進展している」と言ってよいのではないかと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
まず現在、反例の存在を証明したHosteの予想について、具体的な反例の発見に取り組んでいる。私自身は数値計算などに詳しくないため、関係する研究者に協力してもらい計算機などを利用することで、実際に具体例が見つかりつつある。本年度で行った反例の存在証明及び現在進行中の具体例の構成について論文にまとめることがまず取り組むべき課題である。 また、本年度構成した曲面絡み目に対するMilnor不変量を用いることで、与えられた曲面絡み目が自明絡み目にlink-homotopicかどうかを判別することはできるかというのは興味深い問題であり、今後の研究課題として考えている。さらにこれに関連して、この不変量に一般化が存在するかというのも重要な課題である。Milnor不変量は基本群由来の不変量であり、カンドルの観点では2-コサイクルから構成される不変量であるため、高次ホモトピー群やカンドル3-コサイクルを用いる形で不変量を一般化・精密化することができないか試みたい。
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