2017 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体の電子状態自在変調を目的としたナノマテリアル担持触媒の開発
Project/Area Number |
16J01409
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
角田 圭 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 遷移金属錯体触媒 / 固相担持 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
嵩高いケトンのヒドロシリル化反応において、一般的なシリカゲルクロマトグラフィー用のシリカゲル(Kanto silica gel 60N)を触媒担体として用いた場合に比べ、より平均細孔径が大きいシリカゲル(CARiACT Q-10)を用いた場合において高い触媒活性を示すことが報告されている。平均細孔径が大きいことから、分子が接近しやすくなり反応性が向上したと考えられる。 そこで私は、溶液中においては多孔質材料に比べナノ粒子上に担持した触媒の方が、分子がより接近しやすいと考え、ナノ粒子上へ触媒を担持することでさらなる触媒活性の向上を期待している。さらに、近年ではコア-シェル構造を有するナノ粒子の合成手法が確立されてきており、様々なコア-シェル構造を有するナノ粒子を担体として用いることで、触媒活性の外的要因による制御や、機能性の付与などが可能になると考えられる。 まず、利用するナノ粒子として酸化チタン(DEGUSSA P-25)を用いて、含ケイ素かご型骨格アルキルホスフィン配位子(SMAP)の担持を試みた。しかしながら、固体NMRによる解析を行ったところ、酸化チタン表面にSMAPは担持されていなかった。恐らく、Ti-O-Si結合より強いSi-O-Si結合の形成を駆動力とした加水分解が進行したためだと考えられる。現在は酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物をシリカコートしたナノ粒子を合成し、その上に担持することを検討している。 一方で、酸化鉄をコアとするシリカナノ粒子担体を合成し、SMAPを担持させ、触媒反応に適用させたが、Silica-SMAPに比べて高い触媒活性は示されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフェン表面の解析が困難であることから、ナノ粒子へと担体の変更があったが、合成や担持、錯化による担持量の見積もりなどの定量評価も行えている。また、良好な収率ではないが触媒反応への適用可能性も見出せたため、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、金属酸化物ナノ粒子の表面をシリカコーティングして得られたナノ粒子を担体とし、配位子を担持させて触媒活性を評価する。金属酸化物が触媒反応へ与える影響を調査する。
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