2016 Fiscal Year Annual Research Report
介護福祉用人間共生ロボットのためのヘテロ集積化3軸触覚センサとその実装技術の開発
Project/Area Number |
16J01558
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅野 翔 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 触覚センサ / MEMS / 集積化センサ / 温度センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,静電容量型MEMS(微小電気機械システム)センサと集積回路を一体化することで,介護ロボットなどの人間共生ロボットに実装するために求められる省配線,小形化,3軸力検出,材質判別を実現可能なヘテロ集積化3軸触覚センサを開発し,これを実際にロボットアームに取り付けて動作デモを行った。 触覚センサの開発においては,外枠よりも突出させて接触力を集中しやすくした突起をもつ受力部ダイアフラムを厚くし,ストッパを形成する構造を提案した。このセンサ構造によってロボット応用に求められる10 Nまでの圧力測定が可能であることを確認した。次に,本研究とは別に開発された温度センサ内蔵のセンサプラットフォームLSIを用いて触覚センサを試作し,温度センサがMEMSセンサと集積化した後も設計値通り動作することを確認した。また,触覚センサに異なる材質の試料を接触させた際に試料の熱物性値に応じて温度センサの出力値の変化に違いが現れることを確認でき,視覚センサだけでは困難な接触物の温度測定や材質判別といった用途に応用可能であることを実証した。なお,高荷重応用のためのセンサ構造の提案について国内学会で報告しており,センサプラットフォームLSIを用いた集積化触覚センサの評価結果に関して来年度6月に国際学会で発表することが決まっている。 さらに,ロボットアームのグリッパ部を3Dプリンタで作製し,これに触覚センサを表面実装したプリント基板を取り付けて動作デモを行った。一定の力で把持したときの静電容量型センサと温度センサの出力値の変化から把持対象物の硬軟や温冷を判別できることを確認し,本研究で作製した触覚センサがロボット応用に向けて有用であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,ロボット応用に向けてMEMSセンサと集積回路を一体化したヘテロ集積化3軸触覚センサを作製してバス配線上に多数実装し,実際にロボットアームに取り付けて動作実証することである。当初計画していたように,本年度で触覚センサを試作し,特性評価することができた。触覚センサを実装するバス配線の検討を先送りし,センサ単体での特性評価に注力することにしたが,温度センサによる材質判別やロボットアームを用いた動作デモまで研究を進められた。以上のことから,研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに,作製した触覚センサで3軸力や温度の測定ができることを確認し,ロボットアームに搭載して動作デモを行った。今後は複数のセンサをバス接続してこれらの特性評価や動作デモを行う。本研究とは別に開発済みの第2世代センサプラットフォームLSIを使うことで多数の集積化触覚センサを作製することが容易になる。また,ロボットの腕や指などの屈曲部にも取り付けることを想定し,伸縮可能なバス配線や触覚センサの実装方法に関して検討を進める。
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