2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J02171
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小田部 秀介 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 基本群スキーム / 有限平坦主束 / 逆ガロア問題 / 線型簡約群スキーム / 持ち上げ問題 / 本質的有限ベクトル束 |
Outline of Annual Research Achievements |
正標数アフィン代数曲線に対するAbhyankar予想の純非分離類似の研究に関して、昨年度までで部分的な結果が得られていた。今年度前半でこの内容で論文の執筆及び投稿を行った。論文は国際誌Compositio Mathematicaに受理され、現在出版準備中である。また今年度この研究成果について国内外の研究集会において講演を行った。一方、この研究課題の精密化を行うために純非分離主束の分岐に関して研究し、特に正標数の正規代数曲線の有限平坦アーベル主束と一般ヤコビ多様体の同種写像との対応関係を整理した。応用としてアーベル主束に関して分岐制限を設けたより強い形でAbhyankar予想の純非分離類似を示した。今年度後半では正標数代数閉体上の代数曲線の有限線型簡約主束に対する持ち上げ問題の研究を行った。不分岐な場合、線型簡約主束とは標数と互いに素な次数を持つガロア被覆のことに他ならず、古典的である。これを不分岐とは限らない一般の有限線型簡約主束へと拡張した。この過程で、固有代数多様体に対しては既に知られていた基本群スキームの構造定理を固有とは限らないスムーズ代数多様体の場合へと拡張した。また持ち上げ問題の解決のために、離散付値環上の代数曲線の族と特殊ファイバーに付随する線型簡約基本群スキームの比較写像が単射であることを示した。さらに等標数の場合でもこの比較写像が一般に同型にならないということを示した。以上の有限線型簡約主束の持ち上げ問題に関する成果を論文としてまとめ、ジャーナルへ投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Abhyankar予想の純非分離類似に関しては今年度大きな進展が得られなかったが、基本群スキームの比較写像の研究を行ったことにより、正標数代数曲線の線型簡約基本群スキームの構造・情報量の理解に向けて研究方針が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きAbhyankar予想の純非分離類似の解決に向けて研究を進める。来年度はドイツに長期滞在する予定があり、滞在先の研究者たちと議論をしながら研究を進める予定である。
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