2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J02254
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小幡 圭祐 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 特別研究員(PD) (30770127)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 日本近代史 / 明治初年 / 大久保政権 / 大久保利通 / 内務省 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、薩摩藩出身の政治家・大久保利通の国家構想と大久保が長官を務める内務省の制度・政策を解明することで、明治初年に近代国家形成の基礎を構築したとされる「大久保政権」の位置づけを解明し、日本近代史研究に理論的な貢献をすることを目的としている。平成28年度においては、①大久保の国家構想、②内務省の政策立案・意思決定過程の実際についての分析を行うため、①については、国立国会図書館憲政資料室・京都大学総合博物館・鹿児島県歴史資料センター黎明館などが所蔵する大久保や国家構想の立案に携わった吉田清成に関する未刊行史料を、②については、東京大学史料編纂所・東京大学文書館などが所蔵する内務省行政に関する未刊行史料を網羅的に収集した。分析結果は以下の通りである。 ①大久保の国家構想 大久保が国家運営に際し、天皇による君主専制と内務省建省による勧農・地方行政の遂行を重視していたことが明らかとなった。分析の成果は、博士論文の成果とあわせて、著書として公表予定である。 ②内務省の政策立案・意思決定過程の実際 内務省の政策立案・意思決定の実例として明治8年5月の「本省事業ノ目的ヲ定ムルノ議」の成立過程を明らかにした。その成果は、受入研究者の松沢裕作氏との研究ノート「「本省事業ノ目的ヲ定ムルノ議」の別紙について」(『三田学会雑誌』110巻1号)として公表予定である。また、研究ノートの成果を踏まえて、内務省の政策立案・意思決定一般について分析を行い、大久保が内務省の運営を行うに際し卿(長官)主導体制を構築しようとしていたことが明らかとなった。分析の成果は、東北史学会・内務省研究会で発表を行い、また雑誌論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度においては、予定していた研究計画通りに調査・分析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階において研究計画遂行上に問題は見られないため、基本的に予定している研究計画にもとづき研究を推進する予定である。平成29年度においても、未刊行史料を所有する全国の史料保存機関への丹念な史料調査を計画している。
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Research Products
(3 results)