2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J02345
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
西山 明子 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | デュアルコム / ドップラーフリー / 高分解能 / 高感度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度には、デュアルコム分光システムをドップラーフリー2光子吸収分光システムに適用した。この分光法を用いると、デュアルコム光源によって中間順位を介さない2光子遷移の観測が可能であり、かつ蛍光観測を行うことで高い測定感度が得られる。また、本研究では簡易的なパルス成形の手法を用いて、ドップラーフリーの信号とともに現れるドップラー拡がりの信号を除き、完全にバックグラウンドフリーな測定を達成した。加えて、蛍光観測においてはコヒーレントアベレージと呼ばれる積算手法を用いることで、検出器のノイズに埋もれる小さな信号を検出可能であることを示した。Rb原子の5S-5D遷移の測定にこの測定システムを適用し、得られた超微細構造スペクトルの絶対周波数を数100 kHzの精度で決定した。 さらに昨年から引き続き、光周波数コムのモードフィルタリング、変調分光法、蛍光観測の手法を用いて、デュアルコム分光法の測定感度向上に取り組んだ。光周波数コムのモードフィルタリングを用いた手法では、測定感度の制限となる光検出器の飽和を抑制する効果によって、得られるデュアルコムビート信号のSN比を46 dB向上させることに成功した。また、ドップラーフリー光-光2重共鳴デュアルコム分光のシステムにおいて、励起光強度の変調を用いた変調分光法を提案した。この手法はドップラーフリー光-光2重共鳴分光法に限らず、励起光を用いるデュアルコム分光測定には広く応用可能である。さらに、1光子遷移のデュアルコム分光測定においても蛍光観測の手法を用いることができ、高感度デュアルコム分光計測が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度には、当初から計画していたドップラーフリー2光子吸収分光システムを開発し、Rb原子の超微細構造遷移の観測によってその測定分解能と精度の評価を終了した。また、ドップラーフリーデュアルコム分光システムを様々な分子に適用するために必要である、高感度分光手法の開発にも同時に取り組み、成果を得た。これらのことから、本研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、光周波数コムを光源とした高感度分光を実現するために、高フィネス共振器を用いた高感度分光の研究を行う。研究実施場所を変更するため、デュアルコム分光システムを用いた研究を継続することは難しくなるが、一台の光周波数コムを用いたフーリエ変換分光法においても、デュアルコム分光法と同様の高い分解能と精度を実現することが可能であり、この分光法を用いて研究を進める。
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