2016 Fiscal Year Annual Research Report
車輪状態のオンライン推定に基づいた移動ロボットの未知環境適応型走行制御の確立
Project/Area Number |
16J02425
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
比嘉 翔弥 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 車輪型移動ロボット / 軟弱地盤 / 車輪沈下量 / スリップ率 / オンライン推定 / 力・トルク計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,車輪状態(車輪沈下量・スリップ率および地盤反力・トルク)をオンライン推定する車輪システムを開発し,単輪試験装置を用いて車輪システム単体における性能評価を実施した. まず,車輪沈下量・スリップ率を推定するために,Time-of-Flight (ToF) カメラを利用した推定システムを構築した.本システムでは,ToFカメラが計測対象の三次元点群データ(ポイントクラウド)および反射光の輝度値に基づいたグレースケール画像を取得できることを利用し,走行地盤のポイントクラウドから車輪沈下量を推定し,走行地盤の輝度画像のオプティカルフロー計算に基づいてスリップ率のオンライン推定を実現した. 次に,移動ロボットの各車輪に作用する地盤反力・トルクをリアルタイム計測するために,6軸力覚センサを介して車輪を駆動することで,地盤から車輪に作用する6軸の力・トルクを計測するシステムを構築した.本システムでは車輪の回転に伴ってセンサ座標系が回転するため,センサが検出した力・トルクを車輪回転角度に応じて車輪座標系へ変換することにより,車輪に作用する地盤反力・トルクのリアルタイム計測を実現した. また,開発した車輪システム単体における性能評価を実施するために,土壌の種類や車輪形状,けん引負荷が異なる複数の走行条件において単輪走行試験を実施し,車輪沈下量・スリップ率および地盤反力・トルクをオンライン推定できることを確認した. さらに,上述の車輪システムの開発と並行して,所属研究室が所有する移動ロボットのハードウェアの改修を行い,次年度に予定している研究内容の準備を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,未知の軟弱地盤を走行する車輪型移動ロボットの各車輪状態をオンライン推定することにより,車輪沈下量・スリップの急増や地盤反力の低下等を早期検知する車輪システムの開発し,同車輪システムを移動ロボットの全車輪に導入し,車輪沈下量・スリップ率の増加や地盤支持反力の減少等の早期検知に基づいた適応的な走行制御を確立することを目指している.平成28年度は,小型で近距離計測が可能なToFカメラと6軸力覚センサから構成される車輪システムを開発し,平成29年度は,開発した車輪システムを移動ロボットの全車輪に導入し,各車輪の沈下量・スリップ率および地盤反力・トルクに基づいた適応的な走行制御則の確立を計画している. 本年度は,上記年次計画に基づいて,4輪型移動ロボットへの導入を見据えた車輪システムを開発し,単輪試験装置を用いて車輪システム単体における性能を確認した.単輪試験装置を用いた性能評価では,複数条件におけるけん引走行試験を実施し,車輪スリップ率・車輪沈下量をオンライン推定できること,地盤反力・トルクをリアルタイム計測できることを確認した.また,次年度に予定している開発した車輪システムの移動ロボットの全車輪への導入に向けて,移動ロボットのハードウェアの改修を行い,次年度の研究に向けた準備も行うことができた. 以上より,本研究課題は,計画していた研究内容を達成し,次年度の研究内容に向けた準備を実施できたため,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,開発した車輪システムを移動ロボットの全車輪に導入し,未知の軟弱地盤環境において車輪沈下量・スリップの急増や地盤反力・トルクの変化を早期検知し,適応的な走行制御の確立を目指す. まず,4輪型移動ロボットの各車輪に6軸力覚センサとToFカメラを搭載し,今年度開発した車輪システムに基づいた多輪走行系システムを構築する.次に,実験室の均質な砂地環境において,全車輪に提案システムを搭載した移動ロボットを走行させ,各車輪状態のオンライン推定の評価を行う.また,各車輪状態の変化量の早期検知に基づいた適応的な走行制御アルゴリズムを検討する.走行制御の有効性については,まず,実験室の均質な砂場環境において繰り返し走行試験を行い検証するだけでなく,砂丘や火山の斜面等の屋外の軟弱不整地において長距離走行試験を実施し,実用的な走行制御アルゴリズムの確立を目指す.最終的には,フィールド試験の内容および本研究を統括した成果を雑誌論文としてまとめる予定である.
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