2017 Fiscal Year Annual Research Report
メコンデルタ炭素貯蔵生態系における統合的温室効果ガス発生量MRVシステムの構築
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16J02509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 宏徳 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 環境分析 / 低炭素社会 / 資源循環システム / 環境調和型農業 / 環境利用改善 / 生態系サービス / 流域管理 / MRV |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者が過去5年間以上温室効果ガス・水稲収量の地上計測活動を続けてきたメコンデルタ沖積土壌地帯の三期作農家水田18圃場のデータに加えて、過去2~4年間継続して地上観測されてきた土壌が異なる地点の温室効果ガス発生量観測データを用いて日別メタン発生速度推定用モデル作った。作ったモデルと衛星データMODISを用いてメコンデルタ全域の日別メタン放出速度を再現した。 特別研究員奨励費によって現地の宇宙航空研究開発機構・ベトナム国科学技術院・フランス国宇宙生物圏研究センター等の研究者らと合同研究開始に向けた打ち合わせを複数回行った。 先端合成開口レーダーPALSAR2を搭載したALOS2により、広域観測モードでメコンデルタ全域を観測したデータを用いて、例え土壌が雲や植生に覆われていても冠水しているかどうか判定する手法をつくった。さらに、AMSR-2・MODISなどの長期観測・高時間分解能衛星データと当手法の冠水判定結果を比較し、光学衛星やパッシブレーダーでは検出できない植生下の土壌の灌水状況が当手法で検出できていることを確認した。上記の衛星データ組み合わせたメタン発生域推定モデル解析にも着手した。 国際学会にも積極的に参加し、成果を発表しつつ情報交換を進めた。学術誌への論文投稿にも着手した。ベトナム・フランス研究者らと複数回に渡って研究打ち合わせを行い、合同研究開始に向けて準備を進めた。 次年度に向けた大気中メタン濃度の衛星観測結果から表面エミッション状況を逆推定する手法の勉強も開始し、解析環境も整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、地上データをベースに衛星データによるメコンデルタ全域の日別メタン発生量推定もでるを作成し、衛星データを用いてメタン発生状況を再現できることを確認できた。 さらに、我が国の最新合成開口レーダーをもちいて、植生や雲に覆われた土壌の灌水状況を降雨空間分解能で把握する手法を構築し、種々の衛星データ・地上データを用いて検証することもできた。 次年度に向けた大気中メタン濃度の衛星観測結果から表面エミッション状況を逆推定する手法の勉強も開始し、解析環境も整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに構築した衛星データ・地上データを融合したボトムアップ式高時空間分解能メタン発生量推定モデルのパラメーター調整を行うことで完成度を高めつつ、その他の衛星データを用いたトップダウン式メタン発生速度推定モデルと比較・検証する。具体的には、GOSATによる大気中のメタン濃度を大気循環輸送モデルに供し、表面フラックスを推定する。この際、衛星・地上データの融合により得られたボトムアップ式メタンエミッション推定モデルとデータ同化を試みる。得られた成果を取りまとめ学術誌に投稿する。
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