2016 Fiscal Year Annual Research Report
不整地における多自由度クローラの走行安定性の向上と動作計画
Project/Area Number |
16J02554
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 大輔 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
Keywords | 学会誌論文(国内) / 学会誌論文(国外) / 学会発表(国外) / 階段の自動走行 / 実証試験 / 階段の走行判別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は第一に、これまでに培った研究成果について、対外的な成果物にまとめる活動を積極的におこなった。具体的には、2本の学会誌論文、および2本の査読付き国際学会への投稿論文である。また、同学会での発表をするために、開催されたスイス、ローザンヌに位置するスイス連邦工科大学へ出張した。 第二に、階段の自動走行の手法を派生・応用することで、内界センサをベースとして矩形形状の障害物を自動走行する制御手法を考案した。また、この考案した制御手法を実際のロボットへ実装し、実験によって動作確認および評価を完了している。 第三に、ARGOSチャレンジを通して、対象とするロボットおよび環境下で、提案する自動走行手法を適用することで、多自由度クローラ型ロボットの自動走行が可能か否か、実証実験を行った。また、同チャレンジのプロジェクトマネージャーを担当しつつ、本年度に開催された同チャレンジの第二回および第三回コンペティションへ出場するために必要な各機能要素の開発も同時並行で推進した。補足すると、このチャレンジはフランスのTotal Co, Ltd.およびフランス国立研究機構が共催するプロジェクトであり、洋上に建設された天然ガス・オイル採掘用のプラント内に存在する圧力計やバルブ、水位計といった計器類を自動点検するロボットの実現を目指したロボティクスチャレンジであり、2014年~2017年3月までの期間に計3回のコンペティションを通じて優勝チームを決定するものである。このチャレンジでは書類審査を通過した世界各国の5チームにてロボットシステムの開発競争が行われた。このコンペティションの中で、プラント内の階段を自律的に登坂および降坂することに成功した。これによって、提案手法の有効性を実証できたと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画は、“階段”(=接地点の角度と間隔が一定)の環境を対象とし、本研究のベースとなる基礎理論体系の構築と実機を用いた検証を行う。これには大きく3つのステップで取り組む. まず第一に,転倒・滑落する物理的要件を解明する。単一クローラ試験装置を用いて、リブの形状効果に伴う転倒モーメントおよび摩擦力を評価する。第二に、リブの影響を加味した転倒と滑落の判別手法を高精度化する。第三に、 安定性を最大化するサブクローラの動作計画手法を構築する。安定余裕度の観点から、ロボットが不整地上で最も安定となるサブクローラの関節角度を導出しロボットの動作計画を行う。なお、検証には、階段の頂点間距離と傾斜角度が任意に変更可能な階段を模擬する試験装置と申請者の所属研究室が所有する多自由度クローラ型ロボットの実機を用いる。 上記の計画に対し、転倒・滑落する物理的要件を解明し、執筆論文が学会誌へ掲載された。また、ロボットの動作計画法を考案し、実機試験によってこれを検証した。以上から、本年度は概ね計画通りに遂行できたと評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
考案した階段走行制御を一般化するため、国際学会誌への投稿を予定している。 また、関連する評価を追加実施し、提案手法の妥当性を多角的に検証する。 これまでの研究成果を博士論文としてまとめ、同審査会にて是非を問う。
|