2016 Fiscal Year Annual Research Report
トライボ化学反応制御に基づく大気中無潤滑下での超低摩擦システムの開発
Project/Area Number |
16J02674
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 脩裕 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 窒化炭素 / 超低摩擦 / 自己形成 / ナノ界面 / 酸素分子 / 水分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
窒化炭素膜を用いた摩擦システムにおけるトライボ化学反応機構並びに摩耗機構の解明,及び大気中での無潤滑超低摩擦システムの開発を最終的な目的とする本研究において,窒素ガス環境中に含まれる酸素及び水分子が窒化炭素膜の摩擦・摩耗特性に大きな影響を与えることを実験的に明らかにした.本年度に得られた具体的な結果は以下の通りである. 1. 窒素ガス環境中の酸素濃度及び相対湿度の増加(0.01-21 vol.%,3-21 %RH)に伴い,窒化炭素膜同士の組み合わせにおける摩擦係数及び比摩耗量(Ws)がそれぞれ増加する(0.01-0.4,1x10-8 mm3/Nm-2x10-7 mm3/Nm)ことを明らかにした. 2. 窒化炭素膜同士の組み合わせにおいて0.05以下の相対的に低い摩擦係数が得られる際には,CNx膜付ボールの比摩耗量が3x10-8 mm3/Nmを下回ることを明らかにした. 3. 窒化炭素膜と水素含有窒化炭素膜の組み合わせにおいて0.01ほどの低摩擦係数が得られる際は,相互の膜由来の炭素が摩擦界面で行き来しており,両者の表面で炭素及び水素が化学結合していることを明らかにした. 4. 窒化炭素膜と水素含有窒化炭素膜の組み合わせを用いることにより,窒素ガス環境中の酸素濃度及び相対湿度の増加(0.01-21 vol.%,3-21 %RH)に関わらず,0.05以下の低摩擦係数が得られることを明らかにした. 5. 窒化炭素膜と水素含有窒化炭素膜の組み合わせにおける超低摩擦発現時には,膜由来の水素ガス及び炭化水素ガスが生成することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In-situトライボ化学反応分析システムにより窒化炭素膜のトライボ化学反応及び化学摩耗機構を明らかにすることを目的とする本年度において,超低摩擦発現時には膜由来の水素ガス及び炭化水素ガスが生成することを明らかにした.これはトライボ化学反応に起因した摩耗生成物であると考えられる.以上の結果より,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,水素ガス環境におけるCNx膜を用いた超低摩擦発現機構を解明する.そのために,水素ガス中の酸素及び水分をppbオーダで制御可能な試験機での摩擦試験において,水素ガス環境におけるCNx膜の摩擦に及ぼす酸素と水分子の影響を解明する.
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