2016 Fiscal Year Annual Research Report
円山応挙と金弘道の比較研究―近世後期の日韓における写生画の勃興―
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16J03034
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村上 敬 関西大学, 東アジア文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 円山応挙 / 金弘道 / 写生画 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、当該比較美術研究の基礎として、研究対象とする円山応挙、金弘道、および両者の周辺画家に関する図版資料の集積と整理を行い、またパトロンとの関係について、『萬誌』、『檀園記』などを通し、再検証を行った。そのなかで、《江華島図》(ソウル大学校博物館蔵)など、韓国絵画の風景表現にも着目し、研究対象とする画家に限らず、より広範に韓国絵画について、調査・検討を行った。また、応挙については、画業を大きく二つ(明和ー安永、天明ー寛政)に区分するかたちで、作品分析を行い、以下の研究成果をあげた。まず、(1)後期にあたる天明ー寛政年間の作品の再評価である。日本各地の寺院、展覧会で作品の実見を行うとともに、まず二期の各障屏画の比較検討を行った。障壁画の制作は、天明年間以降に集中しているが、これを制作背景の変化として捉え、応挙の描法、構成の変化について考察を行った。これにより、応挙は、天明ー寛政年間においては、小画面形式(掛幅等)であっても、それ以前のいわゆる写生的表現から一定距離をおき、筆勢をより重視するようになった、という考察の結果に至った。(2)京という地域、江戸時代中期という時間の設定のもとに、写生画の発生と展開について再検討を行った。そのために、応挙と同門の絵師・原在中を取り上げ、画業を比較検討し、両者の画風変遷上の共通性を指摘した。すなわち、時代性を反映し、沈南蘋や孫億の絵画への関心から、寛政期に至るにつれ、より復古的な絵画制作へと向かった経緯について叙述した。今年度の研究は、今後の比較美術研究の基礎調査・研究となったことが大きな成果である。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)