2017 Fiscal Year Annual Research Report
海鳥による物質輸送の環境応答メカニズムと生態系波及効果の解明
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16J03462
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
庄子 晶子 北海道大学, 水産科学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2020-03-31
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Keywords | 物質輸送 / 海鳥 / 安定同位体比分析 / 環境汚染物質分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年4月から7月にかけて、北海道天売島のウトウ繁殖地において野外調査を実施した。日中巣内で抱卵中の個体を素手で捕獲し、前年度に装着したデータロガーを回収して巣内に戻した。また、新たに別のウトウを捕獲し、新規のデータロガーを装着した(この回収は2018年を予定している)。ウトウは北太平洋に広く分布し、天売島の繁殖地が世界最大の繁殖コロニーとして知られているが、2014年から繁殖成績が著しく悪化しており、個体群動態に大きな影響を及ぼすことが懸念されている。2017年の調査では、データロガーの回収率が3割程度と高くはなかったが、繁殖成績の低さを考えると期待以上の成果であったといえる。この著しい繁殖率の低下が、何が原因で引き起こされたのかは不明であるが、本研究のテーマである『汚染物質輸送』という観点からも問題の解決に貢献できればと考えている。 2017年10月からは北海道大学獣医学部で汚染物質濃度分析と安定同位体比分析を実施した。分析結果の詳細についてはここでは割愛するが、要点をまとめると、ウトウが体内に汚染物質を蓄積していること、その汚染物質を繁殖地内で排出していること、その影響が陸上生態系にまで及んでいること等がわかった。また、データロガーを用いたバイオロギング技術のデータと合わせて解析を行った結果、ウトウが体内に蓄積している汚染物質濃度と越冬海域での行動に関連があることがわかった。現在、この結果を取りまとめて国際学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外実験によるデータおよびサンプルの取得および得られたデータの分析を問題なく進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はデータロガーの回収につとめるとともに、得られた全データを総合的に解析し、本研究課題の成果を学術論文としてまとめ、発表する。
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Research Products
(7 results)