2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J03514
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 結香 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | FOXK1 / mTORC1 / 脱リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
mTORC1が直接FOXK1やFOXK2, PBX2を脱リン酸化制御するか否かの答えはまだ出ていないが、これまでのデータより、3種の脱リン酸化分子に共通した脱リン酸化酵素が存在する可能性が示唆されている。そこでこの脱リン酸化酵素を同定するために、in vitroで酵素活性をモニターし複数の分画法を組み合わせて酵素を精製する生化学的探索を試みた。まずHEK293T細胞にFLAG-FOXK1を過剰発現させた後、免疫沈降法によりリン酸化されたFLAG-FOXK1を精製した。これに様々な分画法を行なったHEK293T細胞抽出液を添加し、37℃で反応させ、ウェスタンブロッティング解析を行なった。硫安分画法を用いた場合、硫安濃度20~50%の画分に、FLAG-FOXK1のバンドシフトを指標とした脱リン酸化酵素活性が、比較的強く検出された。また、ゲル濾過クロマトグラフィーではFraction7-8に、陰イオン交換クロマトグラフィーではFraction11-12にそれぞれ活性がみられた。しかしながら、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーについては顕著なバンドシフトがみられなかった。以上の結果をふまえ、まず大量に調製したHEK293T細胞の抽出液を硫安分画法で粗精製し、次にゲル濾過クロマトグラフィー、さらに陰イオン交換クロマトグラフィーを行なって脱リン酸化酵素を精製することとした。なお、各過程の間には透析を行い、余分な塩を除去した。 まず硫安分画法を行なうと、予備的解析と一致して、硫安濃度20~50%の画分に脱リン酸化酵素活性が強く検出された。この画分を回収しゲル濾過クロマトグラフィーを行なうと、Fraction7-12に広く活性が分かれてしまった。そこで比較的活性が強くみられたFraction9に対して陰イオン交換クロマトグラフィーを行なうと、活性が消失してしまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一年度の予定であった脱リン酸化酵素の同定には未だ至っていないものの、着々とデータを積み重ねることができた。特に生化学的解析については各分画法の詳細な条件を決定し、各々を組み合わせた大規模精製を行うことで、ある程度まで酵素活性を絞り込むことに成功した。今後の引き続きの解析と新たに着手するCRISPR/Cas9法を用いた遺伝学的解析の結果に期待したい。
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Strategy for Future Research Activity |
脱リン酸化活性が消失してしまった原因としてまず考えられるのは、脱リン酸化酵素の存在量が少なく、分画をしていくうちになくなってしまった可能性である。これに関しては最初のマテリアルとなるHEK293T細胞抽出液の量を増やすことで対応する。また別の可能性としては、目的の脱リン酸化酵素が複合体を作って働いており、分画することで複合体が崩れて活性がなくなってしまったことが考えられる。この問題に関しては、組み合わせる分画法の順番を変える、もしくはいくつかの画分を混合して反応させることで活性が戻らないか試すことで対応する。 本研究で最も重要となるmTORC1の活性依存的にFOXK1, FOXK2, PBX2を脱リン酸化する酵素の同定は、生化学的探索において困難な状況であると言えるが、引き続き実験を進めるとともに、新たにCRISPR/Cas9法を用いた遺伝学的探索も今後行なう予定である。既にCRISPR/Cas9 libraryは手に入れており、網羅的に酵素を失活させ、どの酵素が失われた時にmTORC1の活性依存的な脱リン酸化が抑制されるか解析する。
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