2016 Fiscal Year Annual Research Report
不飽和土中における非水溶性汚染流体の移動機構の解明と浄化対策の合理化
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16J03529
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中村 圭太 横浜国立大学, 都市イノベーション学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 土壌汚染 / NAPL / 有限要素法 / 多相浸透流 |
Outline of Annual Research Achievements |
石油や揮発性有機化合物などの非水溶性液体(NAPL)は,土粒子間隙中の水や空気とは独立した相として存在し,地中で複雑な多相の流れを形成して土壌汚染を引き起こす.これまで地盤浄化法は,過去の適用実績や経験に基づいて判断するか,解析的にトライアンドエラーで対策案を比較・検討して選定するしかなかった.そこで本研究では,多相浸透解析法と特定の問題に 依存しないメタヒューリスティクス最適化法と組み合わせることで,設定した条件に対して最適な浄化対策を導き出す数値解析技術の開発を目指す. 水-NAPL-空気3相の浸透解析法をメタヒューリスティクス最適化法と組み合わせる際は,最適化過程において膨大な計算量が予想されるため,数値解析法の安定性や精度,計算速度が重要となる.そこで,有限要素法を用いた際の間隙流体圧,体積含水率,比水分容量の空間離散化(空間近似手法)に着目して,新たな空間離散化手法を開発し,繰り返し計算の収束速度を飛躍的に向上させるとともに,計算の安定性に著しい改良をもたらした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に上述した通り,初年度は水-NAPL-空気3相の浸透解析法に新たな空間離散化法を適用し,計算速度・安定性を飛躍的に向上させた.これにより,非線形性の強い問題でも最適解を算出しうるメタヒューリスティクス技術を導入するための素地が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
非線形性の強い問題にも適用可能なメタヒューリスティクス 技術を導入して,過去の実績や経験に基づいて選定する浄化法を,解析的に最適化する統合的な解析技術を開発する.メタヒューリスティクスは様々な種類が提案されているが, 本研究で扱う土壌汚染問題における浄化法の最適化問題では,連続変数に適用可能な手法が必須となる.本研究では,これらの中から,収束速度・安定性・汎用性の観点から適切な技術を選定し,導入するとともに必要に応じて修正を行う.検証は,計算コストが低いシンプルな問題を解き,同様の問題を開発済みの解析手法でランダムに多数回解いて比較することで,最適化により得られた解が妥当であるかを検証する. 開発した数値最適化手法を用いて,所定の条件下で地盤浄化法の最適化問題を解き,提案手法の適用性を検証・確認する.例えば,地下水揚水処理におけるLNAPL の浄化の最適化問題では,揚水井の本数,隣接する揚水井との距離,コスト,期間などを最適化すべき変数として,最も効率的に浄化可能なこれらの値を逆算する.得られた最適解は順解析を通して最適であることを確認するとともに,実際に合理的な浄化法であるか模型実験でも検証する.
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